直帰率と離脱率は、どちらも「ユーザーがサイトを去った」ことを示す指標ですが、数える対象が違います。直帰率は、そのページから訪問が始まり、他のページを見ずに終わった割合。離脱率は、そのページが訪問の最後になった割合です。直帰は必ず1ページで完結しますが、離脱は何ページ閲覧した後でも起こります。そして、どちらも数値が高いこと自体は問題を意味しません。
先月、あるクライアントの担当者から「代理店に直帰率が78%で高すぎると指摘されたのですが、これは危険な数字ですか」と質問を受けました。数字だけを見て良し悪しを判断するのは難しいところです。実際にそのサイトを確認すると、指摘されていたのはブログ記事のページでした。記事を読んで満足して帰る人が多いのは自然な挙動で、少なくとも最優先で手を入れる場所ではありませんでした。
2つの指標の違いを整理する
言葉で説明するとわかりにくいので、具体的な閲覧パターンで見ていきます。あるユーザーが次のように動いたとします。
トップページ → サービスページ → 料金ページ → 離脱
このとき、直帰は発生していません。3ページ見ているためです。離脱が発生したのは料金ページです。
別のユーザーが、ブログ記事に検索から入り、そのまま帰ったとします。この場合、その記事ページで直帰が1回、同時に離脱も1回発生します。
| 項目 | 直帰率 | 離脱率 |
|---|---|---|
| 何を数えるか | そのページで始まり、そのまま終わった訪問の割合 | そのページが最後になった訪問の割合 |
| 閲覧ページ数 | 必ず1ページ | 何ページでも起こりうる |
| 分母 | そのページから始まったセッション | そのページが閲覧されたセッション |
| 主に使う場面 | 入口ページの評価 | ファネル途中の離脱箇所の特定 |
分母が違う点が、混同されやすい原因です。直帰率の分母は「そのページから訪問が始まった回数」に限られます。一方、離脱率の分母は「そのページが表示された回数」全体です。同じページでも、経由して見られることが多いページと、入口になることが多いページでは、2つの数値が大きくずれます。
GAで直帰率の定義が変わっている
もう1つ、押さえておきたい変更があります。GA(Google Analytics)の最新版では、直帰率の定義そのものが変わりました。
かつての直帰率は「1ページしか見ずに終わったセッションの割合」でした。現在は「エンゲージメントのなかったセッションの割合」と定義されています。エンゲージメント率の裏返しという位置づけです。
Googleの公式ヘルプによると、エンゲージのあったセッションとは、次のいずれかを満たすものを指します。
- 10秒を超えて継続した
- キーイベント(コンバージョン)が発生した
- 2ページ以上(またはスクリーン2回以上)閲覧された
つまり現在の直帰率は、1ページしか見ていなくても、10秒以上滞在していれば直帰にカウントされません。記事をじっくり読んで帰ったユーザーは、旧定義では直帰、現在の定義では直帰ではない、ということになります。
この変更は実務上わりと大きく、過去のレポートと単純に比較できなくなっています。「昨年より直帰率が大幅に下がった」ように見える場合、定義の変更が効いているだけということもあります。古いツールや代理店のレポートが旧定義のままになっていないかは、確認しておいたほうがよい点です。GAでのCVR計測全般についてはGAを使ったCVR分析にまとめています。
数値が高くても問題ないケース
冒頭の相談のように、直帰率の高さがそのまま問題を意味するとは限りません。ページの役割によって、期待される数値が違うためです。
- ブログ記事・コラム:検索から入って読み、満足して帰る動線が自然。直帰率が高くても異常ではない
- 店舗の営業時間や電話番号を載せたページ:情報を確認して帰る、あるいは電話をかけるのが正解の行動
- 問い合わせ完了ページ:離脱率が高いのは当然。むしろ低いほうが不自然
- 料金ページ:比較検討の途中で見られることが多く、ここでの離脱は検討離脱の可能性がある
逆に、注意して見るべきなのは次のようなページです。
- 広告の遷移先として費用をかけているランディングページ
- ファネルの途中にあるページ(フォーム入力画面、確認画面)
- サービス紹介から問い合わせへつなぐ想定の中間ページ
同じ「離脱率60%」でも、問い合わせ完了ページなら健全、フォーム入力画面なら重大な問題です。指標を単体で見ず、そのページに期待している役割と突き合わせて判断します。
どのページから手をつけるか
改善の優先順位は、次の2軸の掛け合わせで決めています。
1つ目は流入量です。月に10セッションしかないページの直帰率を改善しても、全体への影響はほとんどありません。まずは流入の多い順に並べます。
2つ目は、そのページに期待している役割からの乖離です。入口として設計したページなのに、次のページへ進む人がほとんどいない。フォームに進ませたいのに、その手前で止まっている。こうした設計と実態のギャップが大きいページが対象になります。
この2つを掛け合わせると、着手すべきページは自然と数ページに絞られます。全ページの数値を並べて眺めても判断はつきませんので、絞り込んでから中身を見に行くほうが早いです。
なお、数値だけでは「なぜ帰ったのか」はわかりません。原因を特定するには、ヒートマップでどこまで読まれているかを確認したり、セッション録画で実際の操作を見たりする必要があります。定量と定性の組み合わせ方はヒートマップ分析とユーザー行動分析で扱っています。
改善の打ち手
原因ごとに、有効な打ち手は変わります。現場でよく使う対応を挙げます。
検索意図とページ内容がずれている場合は、コンテンツ側の修正が必要です。特に広告のランディングページでは、広告文とファーストビューの見出しが噛み合っていないと、開いた瞬間に帰られます。ここは文言を揃えるだけで数値が動くことがあります。
次に進む先が見えていない場合は、導線の追加です。記事の末尾に関連記事や資料請求への案内がないと、読み終わった時点で行き場がなくなります。
表示速度が遅い場合は、そもそも読まれる前に離脱しています。現在の直帰率の定義では10秒が閾値になっていますので、表示に数秒かかるページは不利です。
フォームで止まっている場合は、入力項目や文言の問題である可能性が高くなります。この領域はフォーム最適化(EFO)とマイクロコピーで個別に扱っています。
原因の切り分けが難しいと感じる場合は、CVRが低い原因の整理から入ると、当たりをつけやすくなります。
指標を見るときに気をつけたいこと
最後に、計測そのものの落とし穴を1つ。
直帰率や離脱率は、計測タグの実装状況に影響を受けます。スクロールやクリックのイベントを細かく計測している場合、旧定義では直帰だった訪問がエンゲージありと判定され、直帰率が実態より低く出ることがあります。逆に、タグが一部のページに入っていなければ、そのページが最後に見えて離脱率が跳ね上がります。
数値に違和感があるときは、改善策を考える前に計測が正しいかを疑う。この順序を守ると、無駄な施策を打たずに済みます。改善の進め方全体の流れはWebサイト改善の進め方にまとめています。
自社サイトの数値をどう読むか迷ったら
指標の意味がわかっても、「自社の数値が良いのか悪いのか」「どのページから手をつけるべきか」の判断には、サイトの構造や事業モデルを踏まえた読み解きが必要です。株式会社ティーラが提供するCVアップパートナーズでは、計測環境の点検からデータの読み解き、改善施策の設計・実施までを一貫して支援しています。
まずは無料のサイト診断で、自社サイトの現状を把握するところから始めてみてください。
参考文献
- Google アナリティクス ヘルプ「エンゲージメント率と直帰率」(エンゲージのあったセッションの定義) https://support.google.com/analytics/answer/12195621