EFO(Entry Form Optimization、フォーム最適化)とは、問い合わせフォームや申込みフォームの入力完了率を上げるための施策全般を指します。広告でどれだけ集客しても、フォームで離脱されればコンバージョンにはつながりません。フォームは多くのサイトで最後のボトルネックになっており、ここを直すだけで既存の流入からCVRを伸ばせるケースが多くあります。

あるBtoB向けクラウド会計ソフトのクライアントとの定例で、こんな場面がありました。「広告のCTRが先月から1.5倍に上がったのに、問い合わせ件数は横ばいで……」。GAを一緒に見たところ、原因はすぐにわかりました。CTAのクリック数は確かに増えている。けれども、そこから先——問い合わせフォームの完了率が22%しかなかったのです。フォームに来た人の約8割が、入力の途中で離脱していました。

広告で人を連れてくるところまではうまくいっているのに、フォームに穴が空いているせいで流入がそこで消えてしまう。これは広告費を捨てているのと同じです。この記事では、まさにこの「フォームで起きている機会損失」を潰すためのEFOの具体策を解説します。

EFOが今あらためて注目される理由

EFOという概念自体は新しいものではありません。ただ、ここ数年であらためて注目される理由があります。

ひとつは広告単価の上昇です。クリック単価が上がれば、フォームで離脱されたときの損失額も比例して大きくなります。もうひとつはモバイルシフトです。総務省の令和7年版情報通信白書によれば、2024年時点でスマートフォンによるインターネット利用率は74.4%(※1)。PCで作ったフォームをスマホで入力するときのストレスは、想像以上に大きいものです。

The Manifestの調査(※2)では、オンラインフォームユーザーの81%がフォーム入力中に離脱した経験があると回答しています。フォームが最後の関門であり、最大のボトルネックになっているという裏づけになります。

以下、クライアント案件で実際に効果を確認してきたテクニックを、重要度の高いものからグループに分けて解説します。全部で7つありますが、最初の2つが全体のインパクトの半分以上を占めます。

まず手をつけるべきは「そもそもの項目数」

項目数の削減

フォーム最適化で何から手をつけるか迷ったら、まず項目を減らすところから始めるのが効果的です。

別の記事(CVRとは?計算方法と業界別平均値を徹底解説)でも触れましたが、あるBtoB企業の問い合わせフォームで入力項目を14個から5個に削ったところ、CVRが1.8倍になったことがあります。

これは特殊な例ではありません。HubSpotの分析(※3)でも、入力フィールドを4個から3個に減らすだけでCVRが約50%向上したケースが報告されています。項目数とCVRの関係は、ほぼ例外なく「少ないほうが良い」です。

問題は、なぜ項目が増えるのか。大抵は営業部門の要望です。「リードの質を上げたいから予算感も聞いてほしい」。けれども、まだ興味を持ったばかりの段階で予算規模を聞かれて、正直に答える人がどれだけいるでしょうか。

初回接点で聞くべきは、名前・メールアドレス・相談内容(任意)の3つで十分なことがほとんどです。会社名、部署、電話番号、予算は、商談に入ってから聞けば間に合います。

先ほどのクラウド会計ソフトのクライアントでも、フォーム項目を9個から4個に整理しました。「会社名」「名前」「メールアドレス」「ご相談内容(任意)」の4つです。フォーム完了率は22%から51%に改善しました。営業チームからは「情報が減って困る」という声もありましたが、問い合わせ件数自体が2.3倍になったことで、有効商談数は以前より増えています。

任意項目と必須項目の設計

項目数を減らすのが理想ですが、社内調整で「どうしてもこの項目は残したい」と言われるケースはあります。そのときは必須と任意を明確に分けることで離脱を抑えられます。

Baymard Instituteの調査(※4)では、ユーザーが入力中に感じるフラストレーションの上位に「どの項目が必須かわかりにくい」が挙がっています。「*」マークだけでは不十分で、「任意」のラベルを明示的に表示するほうが効果的です。

あるIT企業の場合、「電話番号」と「従業員規模」を必須から任意に変更し、ラベルにグレーで「(任意)」と表示しただけで、フォーム完了率が11ポイント上がりました。項目数は変わっていません。ユーザーは「全部埋めなくていい」とわかった瞬間に、心理的な負荷が下がります。

入力中のストレスを消す(バリデーションと入力補助)

項目数を最適化したら、次は「入力中の体験」を改善します。ここも地味ですが、数字にはっきり出ます。

リアルタイムバリデーション

フォームを全部埋めて「送信」を押したら、画面の上のほうに赤字で「メールアドレスの形式が正しくありません」と表示される。どこが間違っているのか探すために、またスクロールする。この体験はかなりストレスがあります。

Luke Wroblewski氏(元Googleのプロダクトディレクター)の研究(※5)では、リアルタイムでエラーを表示するインラインバリデーションを導入した場合、フォーム完了時間が22%短縮、エラー発生率が22%減少し、完了率が向上したという結果が報告されています。

実装のポイントは3つです。

  • エラーはフィールドの直下に表示する:画面上部にまとめて出さない
  • 入力中ではなく、フィールドからフォーカスが外れたタイミングで判定する:入力途中でエラーが出ると逆にストレスになる
  • エラーメッセージは「何が間違っているか」ではなく「どうすれば正しくなるか」を書く:「形式が正しくありません」ではなく「例:tanaka@example.com の形式で入力してください」

クライアントの人材紹介会社でこの3点を実装したところ、フォーム完了率が34%から46%に改善しました。特に効果が大きかったのは電話番号フィールドで、ハイフンの有無で弾かれていたエラーを許容するようにしたことで、電話番号欄での離脱が約6割減りました。

住所の自動入力(郵便番号から住所補完)

BtoBフォームではそこまで多くありませんが、ECの購入フォームやサービス申込みで住所を聞く場合、郵便番号から住所を自動補完する機能は重要です。

スマホで「東京都渋谷区神宮前」と手打ちするのは、想像以上に面倒です。ある不動産系のクライアントで郵便番号から住所への自動補完を導入したところ、住所入力ステップでの離脱率が18%から7%に下がりました。導入はjQueryプラグインやAPIで進められ、コストに対するリターンが高い施策です。

フォームの「見せ方」を変える

プログレスバー(ステップ表示)

入力項目がどうしても5つ以上になる場合、1画面に全部並べるのは避けたほうが良いです。代わりに、画面を2〜3ステップに分割して、進捗をプログレスバーで表示します。

「Step 1/3:基本情報」「Step 2/3:ご相談内容」「Step 3/3:確認」のように、今どこにいて、あとどれくらいかが見えるだけで、心理的な負荷が下がります。

Formstackの2023年のレポート(※6)では、マルチステップフォームのコンバージョン率はシングルステップフォームよりも高い傾向にあると報告されています。

ただし、ステップ分割が有効なのは項目が6個以上ある場合です。3項目しかないのに3ステップに分けると逆効果になります。クリック数が増えて離脱を招くからです。

あるBtoB SaaSのクライアントで、8項目のフォームを3ステップに分割しプログレスバーを表示したところ、フォーム完了率が29%から43%に改善しました。最初のステップ(名前とメールアドレスだけ)の通過率が特に高く、「最初の1歩」さえ踏み出してもらえれば残りも完了してくれる傾向がはっきり出ていました。

確認画面の扱い

日本のWebフォーム特有の慣習として「確認画面」があります。海外ではほぼ見かけませんが、日本では「ないと不安」という文化があります。ただし確認画面での離脱率は平均5〜15%。入力まで終えた人の1割前後が「やっぱりやめよう」と離脱しています。

対策は3つあります。確認画面を廃止して送信ボタン上にサマリーを表示する(最もCVRが高い傾向ですが、ABテストで検証するのが望ましい)。確認画面のCTAを「この内容で送信する」に変更する。確認画面に余計な情報を詰め込まない(利用規約の長文リンク等は離脱要因になります)。

あるBtoBコンサルティング会社で確認画面を廃止しサマリー表示に切り替えたところ、完了率が7ポイント上昇しました。

CTA文言とフォーム周辺のマイクロコピー

ここまでの施策はフォームの「構造」を変えるものでしたが、CTA文言とマイクロコピーは「言葉」で離脱を防ぐアプローチです。実装コストがほぼゼロなのに、効果が出やすい領域です。

送信ボタンの文言

「送信」と書かれているボタンは、押した先に何が起きるかが伝わりません。

Unbounceのコンバージョンベンチマークレポート(※7)でも、CTA文言はフォームのCVRに影響する要因として挙げられています。

改善のパターンとしては、以下のような言い換えが有効です。

改善前改善後
送信無料で相談する
確認画面へ入力内容を確認する
資料請求成功事例つき資料をもらう(30秒)
申し込むまずは無料で試してみる

ポイントは「動詞+ベネフィット+ハードルの低さ」を1行に入れることです。「無料」「30秒」「まずは」といった言葉がボタンの周辺にあるだけで、クリックの心理的ハードルが下がります。

あるBtoB人材サービスのクライアントで、送信ボタンの文言を「送信」から「無料で求人相談する」に変えたところ、フォーム送信率が1.4倍になりました。テキストを数文字変えただけの改善です。

マイクロコピーで不安を消す

フォームの送信ボタンの近くに、短い補足テキストを添える。これがマイクロコピーです。

効果が高い定番パターンは3つあります。

「営業電話はいたしません」——BtoBフォームで電話番号を聞く場合、これが入っているかどうかで入力率が変わります。あるクライアントでこの一文を追加しただけで、電話番号の入力率が23%上がりました。

「入力は30秒で完了します」——フォームを見た瞬間に「面倒くさそう」と感じさせないための一文です。実際に30秒で終わるなら、そう書いておくと効果的です。

「ご入力いただいた情報はお問い合わせへの回答にのみ使用します」——個人情報への不安を軽減します。プライバシーポリシーのリンクだけ置いても読む人はほとんどいないので、要約を1行で添えるほうが効きます。

これらのマイクロコピーは、フォームのデザインや構造を変えずに追加でき、ABテストの対象としても扱いやすいです。

モバイルフォームの最適化(見落とされがちな致命的問題)

最後に、モバイル対応の話をします。ここまでのテクニックをすべて実装しても、モバイルでの入力体験が悪ければ台無しになります。

なぜモバイルフォームは離脱されるのか

PCで問い合わせフォームを設計して、レスポンシブでスマホにも対応する。この流れで作られたフォームは、スマホで実際に触ると大抵ストレスがあります。

よくある問題は3つです。入力欄が小さくて隣のフィールドに触れてしまう(Googleのガイドライン(※8)では最低48×48pxを推奨)。キーボードタイプが適切でない——電話番号欄なのにテンキーが出ない、メールアドレス欄なのに「@」がワンタップで打てない。HTMLのinput type属性を正しく設定するだけで解決しますが、対応していないサイトが多いです。そしてフォームとキーボードの干渉。入力中のフィールドがキーボードの裏に隠れて、何を打っているか見えなくなる。

具体的な改善ポイント

モバイルフォームで最低限やっておきたいことをまとめます。

  • input typeを適切に設定する:type="email"でメールキーボード、type="tel"でテンキー、inputmode="numeric"で数字キーボード
  • 入力欄の高さを十分に取る:最低44px、できれば48px以上
  • ラベルをフィールドの上に配置する:横並びだとスマホで読みにくい。上配置にすることでフォーム全体の視認性が上がる
  • オートコンプリートを有効にする:autocomplete="name"autocomplete="email"など。ブラウザの自動入力が効くようにしておくだけで、入力の手間が大幅に減る

ある求人サービスのクライアントで上記を一括実施したところ、スマホからのフォーム完了率が19%から33%に改善しました。一番効果が大きかったのはinput typeの修正で、電話番号欄にテンキーを表示するようにしただけで離脱率が半分以下になりました。HTMLの属性を1行追加するだけの変更です。

テクニックの優先度と、現実的な進め方

7つのテクニックを紹介しましたが、全部同時にやる必要はありません。あらためて、インパクトと実装コストで整理します。

テクニックCVRへのインパクト実装コスト優先度
項目数の削減非常に大きい低(社内調整が本体)最優先
必須/任意の見直し大きいほぼゼロ最優先
リアルタイムバリデーション大きい
CTA文言・マイクロコピー中〜大ほぼゼロ
ステップ分割+プログレスバー中(項目6個以上の場合)
確認画面の改善低〜中
モバイル最適化大きい低〜中

まずは項目数の削減とCTA文言の改善から着手するのが現実的です。この2つは比較的すぐに取りかかれて、インパクトも大きい。

次にモバイル最適化とリアルタイムバリデーション。ここはエンジニアの工数が少し必要ですが、効果は安定して出ます。

ステップ分割や確認画面の改善は、項目数が多い場合に検討すれば十分です。そもそも項目を5個以下に減らせたなら、ステップ分割は不要になります。

フォームは「最後の1メートル」

「サイト改善」というと、ファーストビューのデザインや広告のクリエイティブに目が行きがちです。もちろんそれらも大事ですが、フォームはすでに興味を持って、行動する気になった人が最後に通る場所です。ここでの離脱は、ファーストビューでの離脱よりもったいない。

冒頭のクラウド会計ソフトのクライアントは、フォーム改善だけで月間の問い合わせ数が2.3倍になりました。広告費は1円も増やしていません。既存のトラフィックから、取りこぼしていたコンバージョンを拾い上げただけです。

ただ、フォーム改善を自社だけで進めるのには難しさもあります。「この項目、本当に必要か」を社内で判断するのは政治的に難しいし、バリデーションやモバイル対応はエンジニアの協力が要る。担当者が1〜2人の体制で、通常業務の合間にここまで回すのは負担が大きいのが実情です。

株式会社ティーラが提供するCVアップパートナーズでは、フォーム改善を含むサイトのCVR改善を一気通貫で支援しています。GAの計測環境整備から、ヒートマップでのフォーム離脱分析、改善施策の実装、ABテストでの効果検証まで。分析と施策は弊社で行い、貴社は意思決定に集中していただく形です。

「フォームで離脱されている気がするけれど、どこから手をつけていいかわからない」という状態であれば、まずはCVアップパートナーズの資料をご覧ください。現状のフォームにどれだけ改善余地があるか、診断の流れも載せています。


参考文献

※1:総務省 令和7年版情報通信白書「インターネット接続端末」https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/nd111110.html

※2:The Manifest. “How People Use Online Forms in 2024.” https://themanifest.com/web-design/blog/how-people-use-online-forms

※3:HubSpot. “How to Optimize Landing Page Form Fields for Conversions.”

※4:Baymard Institute. “Usability Testing of Inline Form Validation.” https://baymard.com/blog/inline-form-validation

※5:Luke Wroblewski. “Inline Validation in Web Forms.” https://alistapart.com/article/inline-validation-in-web-forms/

※6:Formstack. “The Form Conversion Report.” https://www.formstack.com/resources/report-form-conversion

※7:Unbounce. “The Conversion Benchmark Report.” https://unbounce.com/conversion-benchmark-report/

※8:Google Developers. “Accessible Tap Targets.” https://web.dev/articles/accessible-tap-targets