先日、都内で複数店舗を展開する飲食クライアントの担当者から、こんな相談を受けました。

「ホームページにはそこそこ予算をかけたんですけど、新規のお客さんって結局”近くの店をマップで探して、そのまま来た”って人が多いんですよね。あそこって何か手を打てるんですか?」

調べてみると、その店舗はGoogleマップ上に登録こそされているものの、営業時間は古いまま、写真は外観が1枚だけ、口コミには返信ゼロ。競合の店は写真が30枚以上あって口コミにも丁寧に返していました。検索結果に並ぶと、差は一目瞭然でした。

実店舗や地域に根ざしたビジネスにとって、この「マップで探されたときにどう見えるか」を整えることは、ホームページのリニューアルと同じくらい売上に直結します。今回はその施策、いわゆるMEO対策について、実務の現場で見てきたことをベースに解説します。

MEO対策とは何か

MEO対策とは、GoogleマップやGoogle検索のローカル検索結果で、自店舗・自社を上位に表示させるための施策のことです。MEOは「Map Engine Optimization」の略で、日本でよく使われる和製の用語です。海外では「ローカルSEO(Local SEO)」と呼ばれることが多くあります。

たとえば「渋谷 居酒屋」「新宿 整体」のように、地域名とサービスを組み合わせて検索したとき、地図と一緒に3件ほどの店舗が表示される枠があります。この枠は「ローカルパック」と呼ばれ、ここに入れるかどうかで来店数が大きく変わります。MEO対策は、この枠やマップ内検索での順位を引き上げることを目的としています。

検索する人の多くは、すでに「行く店を決めたい」「近くで済ませたい」という来店に近い状態にあります。そのため、上位に表示されたときの集客効果は、一般的なWeb広告と比べても見込み客の質が高い傾向にあります。「近くの」というニーズで探している人に、自店舗を最初に見つけてもらう。これがMEO対策の基本的な狙いです。

MEOとSEOの違い

MEOとSEOは「検索で上位を取りたい」という点では同じですが、対象とする検索結果と評価される要素が異なります。

SEO(SEO対策の基本で詳しく解説しています)は、検索結果に並ぶ通常のWebページ、いわゆるオーガニック検索枠での順位を上げる施策です。記事の質や被リンク、サイト構造などが評価の中心になります。地域を問わず情報を探している幅広いユーザーが対象です。

一方でMEOは、地図表示を伴うローカル検索枠が主戦場です。評価される要素も、Webページの中身よりも、Googleビジネスプロフィールの情報の充実度、口コミ、検索者と店舗との物理的な距離などが軸になります。

両者は競合するものではなく、役割分担の関係にあります。実店舗ビジネスであれば、情報収集段階のユーザーをSEOで拾い、来店間近のユーザーをMEOで取りにいく、という考え方が現実的です。どちらか一方だけに寄せると、取りこぼしが必ず出てきます。

Googleビジネスプロフィールの最適化ポイント

MEO対策の中心になるのが、Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)の整備です。これはGoogleが無料で提供している、店舗情報を管理するためのツールです。ここをどこまで作り込めるかで、ローカル検索での見え方がほぼ決まります。冒頭の飲食クライアントの例も、結局はここの放置が原因でした。

基本情報を正確に、漏れなく埋める

店名、住所、電話番号、営業時間、カテゴリ、業種。こうした基本情報は、すべて正確に、そして空欄を残さず埋めることが出発点です。特に営業時間が古いまま放置されているケースは多く、「開いていると思って行ったら閉まっていた」という体験は、来店機会の損失だけでなく信頼の低下にもつながります。

カテゴリ選択も軽視できません。「カフェ」なのか「喫茶店」なのか「コーヒーショップ」なのか、メインカテゴリの選び方次第で、どの検索キーワードで表示されやすいかが変わってきます。自店舗を一言で表す主要カテゴリを1つ、関連するサブカテゴリをいくつか、という形で設定するのが基本です。

写真を充実させる

写真の有無と量は、ユーザーが来店を判断する大きな材料になります。外観、内観、メニューやサービス内容、スタッフの様子。最低限これらが揃っているだけで、情報量ゼロの競合とは印象が大きく変わります。

冒頭の飲食店のように写真が1枚しかない状態と、30枚整っている状態では、同じ料理を出していてもクリックされる確率がまるで違います。スマートフォンで撮ったもので構わないので、まずは枚数と網羅性を確保することをおすすめします。古い写真しかない場合は、季節や内装の変化に合わせて差し替えていくと、運用されている店という印象も与えられます。どの種類の写真を何枚そろえるか、避けたほうがよい撮り方はGoogleビジネスプロフィールの写真のコツで具体的に扱っています。

口コミに必ず返信する

口コミは、ユーザーが見る情報であると同時に、Googleからの評価にも影響する要素だと考えられています。星の数だけでなく、件数、そして店舗側の返信があるかどうかが見られています。

良い口コミにはお礼を、低評価の口コミには感情的にならず誠実に。すべての口コミに返信している店舗は、それだけで丁寧な運営をしている印象を与えます。低評価がついたときに無視したり言い訳を並べたりするのは逆効果になりやすいので、事実確認と改善姿勢を簡潔に示すのが望ましいです。返信対応は地味ですが、見ている人は確実に見ています。星評価別・業種別にそのまま使える文例はクチコミ返信の例文集にまとめているので、返信の型を決めておきたい場合はあわせて確認してください。

投稿機能で鮮度を保つ

Googleビジネスプロフィールには、新メニューやキャンペーン、イベント情報などを発信できる投稿機能があります。ここを定期的に更新しておくと、プロフィール全体が「動いている」状態になり、ユーザーにも最新情報を届けられます。

毎日更新する必要はありませんが、月に数回でも投稿を続けると、放置されたプロフィールとの差がついていきます。新商品の案内、季節の営業時間変更、ちょっとしたお知らせ。ネタは現場に意外と転がっているものです。

ローカル検索で上位表示される要因

Googleは、ローカル検索の順位を決める主な要素として「関連性」「距離」「視認性(知名度)」の3つを挙げています。これはGoogle公式のヘルプにも記載されている考え方です。

関連性は、検索された言葉と店舗情報がどれだけ一致しているかです。カテゴリや基本情報、店舗の説明文を充実させることが、ここに効いてきます。距離は、検索した人の現在地と店舗との物理的な近さです。これは施策でどうにかなるものではありませんが、自店舗の商圏内のユーザーに対して正しく表示されるよう、情報を整えておくことが土台になります。

視認性は、その店舗がWeb上でどれだけ知られているかです。口コミの件数や評価、他サイトでの言及、Webサイトの存在などが関わってきます。ここはSEOやコンテンツの取り組みと地続きの領域です。コンテンツマーケティングとはで触れているような情報発信の積み重ねが、間接的にMEOの土台を厚くしていきます。

この3要素のうち、距離は動かせませんが、関連性と視認性は日々の運用で着実に高められます。MEO対策の実務は、結局この2つをどれだけ丁寧に積み上げるかに尽きます。

MEO対策でよくある失敗

現場でMEOの相談を受けるなかで、繰り返し見かけるつまずきがいくつかあります。

一つ目は、登録したまま放置してしまうことです。プロフィールを作って満足し、営業時間も写真も口コミ返信も止まっている状態です。MEOは一度設定すれば終わりではなく、運用してこそ効果が出る施策です。動いていないプロフィールは、競合が運用を続けるほど相対的に埋もれていきます。

二つ目は、NAP情報の表記がバラバラなことです。NAPとは店名(Name)、住所(Address)、電話番号(Phone)の頭文字で、Googleビジネスプロフィールと自社サイト、各種ポータルサイトで、これらの表記が揃っていることが望ましいとされています。ビル名の有無や番地の書き方が媒体ごとに違っていると、同一店舗だと正しく認識されにくくなる可能性があります。

三つ目は、口コミを自作したり、報酬を渡して書いてもらったりする行為です。Googleのポリシー違反にあたり、発覚すればプロフィールの停止につながる重大なリスクがあります。短期的に件数を増やしたい気持ちはわかりますが、ここに手を出すのは避けるべきです。地道に来店客へ口コミをお願いしていく方が、結果的に安全で効果も持続します。

四つ目は、MEOだけで完結させようとすることです。マップで見つけてもらえても、そこからリンクされた自社サイトが古かったり、スマホで見づらかったり、問い合わせ導線が弱かったりすると、せっかくの来店意欲を取りこぼします。最終的な成約や来店予約まで考えると、サイト側のCVR(コンバージョン率)にも目を向ける必要があります。

MEO対策の進め方

これからMEO対策に取り組む場合、いきなり完璧を目指す必要はありません。優先順位をつけて、効果の出やすいところから手をつけるのが現実的です。

最初にやるべきは、Googleビジネスプロフィールの登録とオーナー確認です。すでに登録済みでも、自社が管理権限を持っているか確認しておきます。次に、基本情報の総点検です。営業時間、住所、電話番号、カテゴリに古い情報や空欄がないかを一つずつ埋めていきます。

そのうえで、写真を増やし、既存の口コミにすべて返信し、投稿を定期的に出していく。この運用を回し始めると、プロフィールの状態は目に見えて変わっていきます。並行して、自社サイトやポータルサイトのNAP情報を統一しておくと、Googleからの認識も安定しやすくなります。

ここまで整えたら、検索順位やプロフィールの表示回数を定期的に確認し、効果を見ながら調整していきます。順位がすぐに動かなくても、地域ビジネスのMEOは継続によってじわじわ効いてくる施策です。短期で諦めず、運用として定着させることが何より重要になります。

なお、こうした地域集客の取り組みは、単発で考えるよりも全体の流入設計の中に位置づけた方が効果が出やすくなります。MEO、SEO、広告、サイト改善をどう組み合わせるかについては、デジタルマーケティング戦略の立て方もあわせて参考にしてください。

地図検索から来店につながった後の接点を作る手段としては、LINE公式アカウントが相性のよい選択肢になります。来店時に登録してもらう導線と配信の設計はLINE公式アカウントで集客する方法にまとめています。

まとめ:マップで選ばれる状態をつくる

MEO対策は、特別な技術が必要な施策ではありません。基本情報を正確に整え、写真を充実させ、口コミに誠実に向き合い、投稿で鮮度を保つ。一つひとつは地味な作業ですが、それを続けている店舗と放置している店舗の差は、マップ上で確実に開いていきます。

とはいえ、日々の店舗運営や本業の合間に、口コミ返信や投稿、写真更新を欠かさず回し続けるのは、担当者が限られている事業者にとって決して簡単ではありません。気づいたら数ヶ月放置していた、という相談も少なくありません。

株式会社ティーラでは、CVアップパートナーズを通じて、MEOを含む地域集客からサイト側の改善までを一貫して支援しています。マップで見つけてもらい、サイトに来てもらい、来店や問い合わせにつなげる。この流れ全体を設計し、運用まで伴走します。地域での集客に課題を感じている場合は、お問い合わせからお気軽にご相談ください。現状のプロフィールやサイトにどれだけ改善余地があるか、まずは無料で診断いたします。

参考文献

  1. Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ローカル検索結果の表示順位を改善する」https://support.google.com/business/answer/7091
  2. Google ビジネス プロフィール ヘルプ「Google でのビジネスの表示方法を管理する」https://support.google.com/business/answer/3038177