先日、あるBtoB企業のオウンドメディア改善を手伝っているときに、担当者からこんな相談を受けました。「同業他社のブログより内容は濃いと思うんですけど、なぜかうちのほうが検索順位が低いんです」。
記事を見比べてみると、確かに情報量では負けていない。むしろ網羅性という意味ではこちらのほうが上でした。ただ、決定的な違いが1つありました。競合サイトには著者の顔写真と経歴が載っていて、記事中に「自社で実際にやってみた結果」が書かれている。対してこちらのクライアントの記事は、著者名すらない。内容は正確だけれど「誰が書いたのかわからない教科書的な文章」だったわけです。
これがE-E-A-Tの差です。Googleは「何が書いてあるか」だけではなく、「誰が、どんな経験に基づいて書いているか」を見ています。2026年の今、この視点なしにSEOで戦うのは相当きびしくなっています。
E-E-A-Tの4つの要素を分解する
E-E-A-Tは、Googleの検索品質評価ガイドライン(Search Quality Rater Guidelines)で定義されている4つの評価軸です。
- Experience(経験):コンテンツ制作者が、そのトピックについて実際の体験を持っているか
- Expertise(専門性):制作者がそのトピックに関する十分な知識やスキルを持っているか
- Authoritativeness(権威性):制作者やサイトが、そのトピックにおいて信頼される情報源として認知されているか
- Trustworthiness(信頼性):サイトやコンテンツが正確で、誠実で、安全であるか
この4つのうち、Googleは「Trust(信頼性)」を最も重要な要素と位置づけています。Experience、Expertise、Authoritativeness はすべて Trust を支える要素であり、Trust が中心にあるという構造です(出典:Google Search Central Blog「Our latest update to the quality rater guidelines: E-A-T gets an extra E for Experience」2022年12月)。
ここで1つ補足しておくと、E-E-A-Tは「直接的なランキング要因」ではありません。Google自身が「品質評価者がこのガイドラインを使って検索ランキングシステムのパフォーマンスを評価するもので、ランキングに直接影響するわけではない」と明言しています。ただ、品質評価者のフィードバックがアルゴリズム改善に使われる以上、間接的には確実に検索順位に影響します。実務上は「E-E-A-Tが高いコンテンツは上がりやすく、低いコンテンツは落ちやすい」と考えて差し支えありません。
E-E-A-Tはページ単位で見られる
「サイト全体のE-E-A-Tを上げたい」という相談をよく受けます。方向としては間違っていませんが、評価の単位を誤解しているケースが多いです。
Googleの「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」では、E-E-A-Tはコンテンツ単位で判断されるものとして説明されています。サイト全体に1つのスコアが付き、それが全ページに配られるという構造ではありません。同じドメインの中に、著者情報と一次情報が揃った記事と、誰が書いたのかわからない薄い記事が混在していれば、評価は別々に付きます。
この前提に立つと、施策の順序が変わります。サイト全体のリニューアルを待つ必要はなく、流入の多い数ページから著者情報と出典を整えれば、その範囲から効果が出はじめます。逆に、会社概要ページだけを立派にしても、記事側が空のままなら記事の評価は動きにくいです。
ただし完全に独立しているわけでもありません。運営者情報、プライバシーポリシー、問い合わせ手段といったサイト全体の要素は、Trustworthinessを支える土台として個々のページの評価にも関わります。土台はサイト単位、中身はページ単位。この整理をしておくと、実務では扱いやすくなります。
2022年12月のアップデートで「E」が追加された理由
もともとGoogleの品質評価基準はE-A-T(Expertise, Authoritativeness, Trustworthiness)の3要素でした。2022年12月のガイドライン改訂で、先頭にExperience(経験)の「E」が追加されてE-E-A-Tになりました。
この変更の背景には、2つの大きな流れがあったと考えています。
1つ目は、AI生成コンテンツの爆発的な増加です。2022年11月にChatGPTが公開され、誰でも手軽にそれらしい文章を生成できるようになりました。専門的な知識がなくても、AIに「○○について解説する記事を書いて」と頼めば、それっぽい記事ができてしまう。Googleとしては、AIが書いた「経験を伴わない」コンテンツと、実際に体験した人間が書いたコンテンツを区別するための軸が必要になったわけです。
2つ目は、商品レビューや体験系コンテンツの品質問題です。「○○ レビュー」で検索すると、実際に使ったことのない人が書いたアフィリエイト記事が上位を占めるケースが目立っていました。スペック表をまとめただけ、メーカーの公式情報をリライトしただけ。ユーザーが知りたい「実際に使ってどうだったのか」に答えられていない。Experienceを評価軸に加えることで、実際に使った人のレビューを上位に出したいという意図があったと見ています。
このアップデートでは、Webサイトの運営者情報の評価方法やコンテンツのオリジナリティに関する基準も同時に更新されています(出典:Search Engine Land「E-E-A-T and major updates to Google’s quality rater guidelines」2022年12月)。
ExperienceとExpertiseの違い(ここが実務の分かれ目)
最も混同されやすいのがExperience(経験)とExpertise(専門性)の違いです。
Expertiseは「知識」です。税理士が税務の記事を書く、弁護士が法律の記事を書く。資格や学歴、職歴に裏打ちされた専門性です。
Experienceは「体験」です。実際にその商品を使った、そのサービスを利用した、その場所に行った。一次体験があるかどうかです。必ずしも専門家でなくても、実際に経験していればExperienceを満たせます。
Googleのガイドラインでは、トピックによってどちらが重要かが変わると明記されています。がんの治療法には医学的なExpertiseが必須ですが、「がん治療を受けた体験記」は患者本人のExperienceが価値を持ちます。
BtoBの文脈で言えば、「SEO対策の方法」を解説する記事には、実際にクライアントのSEO改善を手がけたExperienceが大きなアドバンテージになります。「こういう施策を打ったら、こういう結果が出た」という一次情報が入っている記事は、教科書をまとめただけの記事より上位に出やすい。これは複数のクライアント案件で実感していることです。
YMYL領域とそれ以外でのE-E-A-T重要度の違い
E-E-A-Tはすべてのジャンルで重要ですが、YMYL(Your Money or Your Life)領域では特に厳しい基準が適用されます。
YMYL領域とは、ユーザーの健康、安全、経済的安定、社会的福祉に重大な影響を与える可能性のあるトピック群です。具体的には以下のようなジャンルが該当します。
- 健康・医療:病気の症状、治療法、薬の情報
- 金融:投資、税金、保険、ローンに関する情報
- 法律:離婚、相続、契約に関する情報
- 安全:防災、セキュリティ、犯罪対策
- 政治・市民社会:選挙、制度、公共サービスに関する情報
2025年9月のガイドライン更新では、従来の「YMYL Society」カテゴリが「YMYL Government, Civics & Society」に拡張され、選挙や公共機関への信頼に関わるコンテンツも明確にYMYLの対象になりました(出典:Google Search Quality Rater Guidelines, September 11, 2025)。
YMYL以外の領域、たとえば趣味、エンタメ、一般的なハウツーなどではE-E-A-Tの基準はやや緩やかです。ただし「緩やか」であって「不要」ではありません。BtoBの多くの領域は厳密なYMYLではないかもしれませんが、「経営戦略」「採用」「業務効率化」のようなテーマは企業の意思決定に直結します。「うちはYMYL領域じゃないからE-E-A-Tは関係ない」と判断するのは早計です。
AIコンテンツ時代におけるExperience(実体験)の価値
※AI検索に引用されるための構造面の対策はAIO対策(AI検索最適化)とは?にまとめています。
2024年3月のコアアップデートで、Googleは大量のAI生成コンテンツに対して明確な姿勢を示しました。低品質で大量生産されたコンテンツに対するスパムポリシーが強化され、「スケールドコンテンツの乱用」が新たなスパムカテゴリとして定義されたのです(出典:Google Search Central Blog「What web creators should know about our March 2024 core update and new spam policies」2024年3月)。
このアップデートの結果、Googleが報告した数値では検索結果における低品質コンテンツが約45%削減されたとされています。手動ペナルティを受けたサイトのうち約50%が、主にAI生成コンテンツを使用していたとの分析もあります。
ここで誤解してほしくないのは、GoogleはAIの利用そのものを否定していないということです。Googleの公式見解は「AIを使っているかどうかではなく、コンテンツがユーザーにとって有用かどうかが重要」です。つまり、AIを「ツール」として使いつつ、人間の経験や専門性を上乗せすることが求められています。
実体験が差別化になる理由
AIが書いた記事には、ある共通の弱点があります。「どこにでもある一般論になりがち」という点です。
「E-E-A-Tとは何か」についてAIに書かせると、正確な定義と一般的な対策方法は出てきます。でも「あるクライアントのサイトで著者情報を整備したら、3か月で対象ページのCTRが改善した」のような一次体験は出てきません。
AI Overview(AIO)の普及が進む2026年において、この差はさらに重要になっています。AIOは一般的な情報を要約して表示するのが得意です。つまり、AIが書いた汎用的なコンテンツと同じ情報は、AIOの回答で済まされてしまう。ユーザーがわざわざクリックしてサイトに来る理由は「AIOでは得られない情報があるから」です。その情報とは、実体験に基づく一次データ、具体的な事例、現場からの視点、つまりExperienceそのものです。
AIO対策について詳しくはこちらの記事で解説していますが、E-E-A-TとAIO対策は表裏一体の関係にあります。ChatGPTのような対話型サービスの中で引用されるかどうかも、出典と時点が明記された一次情報を持っているかに左右されます。こちらの経路で必要になる設定面の対応はChatGPT検索で自社サイトが引用されるにはで整理しています。
中小企業・フリーランスがE-E-A-Tを高める具体的な施策
※実体験を積み上げる場としてのメディア運営はオウンドメディアの作り方、記事への落とし込みは記事SEOの書き方が対応します。
「E-E-A-Tが大事なのはわかった。でもうちみたいな小さい会社で、何をどうすればいいんだ」。
この疑問はよく聞きます。E-E-A-Tの解説記事を読むと、大企業や有名メディアの事例が多くて、中小企業やフリーランスには縁遠い話に見えがちです。でも実際は、E-E-A-Tの強化は規模に関係なくできることが多い。むしろ「経験に基づく生の情報」は、大企業より中小企業のほうが出しやすいケースもあります。
施策1:著者情報を整備する(最優先)
最初に取り組みたいのはこれです。効果が出るまでの時間も短く、かけるコストも低い。
記事ごとに著者名を表示します。「記事執筆:○○」だけでもいいので、誰が書いたのかを明記します。多くの中小企業サイトでは、記事の著者が不明瞭です。「管理者」とか「スタッフ」のような匿名表記も見かけますが、これではE-E-A-Tの評価にはつながりにくいです。
著者のプロフィールページを作ります。著者名から遷移できる専用ページを用意して、以下の情報を載せます。
- 氏名(実名が理想だが、ビジネスネームでも可)
- 顔写真(信頼性が大幅に上がる。フリー素材はNG)
- 経歴と現在の役職
- 専門分野
- 保有資格があれば記載
- 過去の実績(プロジェクト数、対応業界など)
- SNSや外部メディアへのリンク
フリーランスの場合は、個人名義のプロフィールページがそのまま著者ページになります。専門分野で発信を続けていること、実際にクライアントワークで成果を出していることを具体的に書く。「Webマーケティング歴10年」のようなざっくりした表現より「BtoB企業のSEO改善で50サイト以上を支援」のほうが説得力があります。
施策2:Schema.orgの著者マークアップを実装する
著者情報をHTMLに載せたら、次は構造化データで検索エンジンに伝えます。Schema.orgのPerson型を使って、著者の情報をJSON-LD形式でマークアップします。
WordPressを使っている場合は、Yoast SEOやRank Mathのプラグインが著者マークアップを自動生成してくれます。手動実装の場合も、JSON-LDのテンプレートにname、url、jobTitle、sameAs(SNSリンク)を入れるだけなので、エンジニアでなくても対応可能です。
実装したら、Googleのリッチリザルトテスト(https://search.google.com/test/rich-results)で正しく認識されているか確認します。エラーが出ていないか、意図した情報が表示されるかをチェックします。
施策3:記事に一次情報を組み込む
E-E-A-TのExperienceを高めるために最も効果的なのがこれです。自社の実績、プロジェクトの数値、現場での気づき。他のサイトには載っていない情報を記事に含めます。
具体例を挙げます。
- 改善の前後データ:「フォーム項目を14項目から5項目に減らしたら、CVRが1.2%から2.1%に上がった」
- 業界特有の知見:「求人サイトの場合、応募ボタンの文言を変えるだけでCTRに15%の差が出る」
- 失敗事例:「SEO対策としてページ数を3倍に増やしたが、低品質ページが足を引っ張ってドメイン全体の評価が下がった」
失敗事例を書けるのは中小企業やフリーランスの強みです。大企業のメディアはブランドイメージの制約から失敗を書きにくい。でもユーザーが本当に知りたいのは「何がうまくいかなかったか」だったりします。正直に書くことがTrustworthinessにもつながります。
施策4:引用と出典を徹底する
数値や事実を書くときは、必ず出典を明記します。「Googleの調査によると〜」ではなく、「Googleの○○レポート(2025年版)によると〜」のように、具体的な出典名と年を書く。リンクがあればリンクも張ります。
出典を明記することのメリットは2つあります。1つはTrustworthiness(信頼性)が上がること。もう1つは、読者が自分で情報を検証できることです。「本当にそうなの?」と思った読者がワンクリックで元情報にたどり着ける。この透明性が信頼を生みます。
クライアントの記事を監修するときは、出典のない数値は原則として削除するか、出典を追記してもらいます。「なんとなくそう聞いた」レベルの情報は、記事の信頼性を下げるリスクのほうが大きいからです。
施策5:サイトの運営者情報と外部評価を積み上げる
著者個人のページとは別に、サイト全体の信頼性基盤も重要です。会社概要ページ(会社名、所在地、連絡先、事業内容、代表者名)、プライバシーポリシー、お問い合わせ手段。この3つが揃っているかどうかで、Trustworthinessの評価が変わります。
Authoritativeness(権威性)については、業界メディアへの寄稿、イベント登壇、SNSでの専門分野に関する継続的な発信が有効です。Schema.orgのsameAsプロパティでSNSアカウントを紐づけておくと、Googleが著者の同一性を認識しやすくなります。フリーランスや小規模事業者の場合、まずは業界コミュニティでの情報発信や小規模なオンラインイベントでの登壇から始めるのが現実的です。
Googleが公開している自己評価の質問リスト
E-E-A-Tの施策で迷ったときに立ち返れる材料が、Google公式にあります。「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」というドキュメントに、自社コンテンツを点検するための質問が列挙されています。E-E-A-Tという言葉で語られる内容を、実務側に翻訳したものと考えて差し支えありません。
Who・How・Why の3つの問い
このドキュメントの中心にあるのが、Who(誰が)・How(どのように)・Why(なぜ)の3点です。
- Who:誰が書いたのかが読者に明確に伝わるか。署名や著者プロフィールが用意されているか
- How:どうやって作ったのかを説明できるか。特に自動化やAI生成を使った場合、その使い方を開示しているか
- Why:なぜ作ったのか。検索エンジンからの訪問を集めることではなく、読者を助けることが第一の目的になっているか
3つのうち最も重いのがWhyです。Googleは、検索エンジン向けに作られたコンテンツの特徴として次のような例を挙げています。
- 多くの異なるトピックについて、大規模な自動化でコンテンツを量産している
- 「Googleには好ましい文字数がある」と聞いたので、特定の文字数に合わせて書いている(Googleはそのような基準は無いと明言しています)
- 内容を実質的に更新していないのに、新しく見せるために日付だけを変更している
- 検索順位のシグナルを狙って、コンテンツを大量に追加・削除している
3つ目は日本のオウンドメディアでもよく見かけます。「定期的に更新している」ことを示すために公開日だけを書き換える運用は、Googleが避けるべき例として名指ししているものに当たります。更新するなら中身を更新する。当たり前の話に戻ります。
内容と品質についての質問
- 独自の情報、取材、調査、分析を提供しているか
- トピックについて、実質的で完全な説明になっているか
- 明らかなこと以上の、洞察のある分析や興味深い情報が含まれているか
- 他の情報源をなぞるのではなく、独自の価値を大きく上乗せしているか
- タイトルは内容を説明していて、誇張になっていないか
- ブックマークしたり、人に薦めたりしたくなる内容か
- 検索結果に並ぶ他のページと比べて、読む価値があるか
- 誤字や文体の乱れがなく、制作の質が保たれているか
専門性についての質問
- 明確な出典と、関わった専門性の証拠が示されていて、信頼できると感じられるか
- 署名や運営者情報のページから、著者の背景がわかるか
- そのトピックの権威として広く認知されているサイトから出ているか
- そのトピックを実際によく知っている専門家、あるいは愛好家が書いているか
- 簡単に検証できるレベルの事実誤認が含まれていないか
この質問群は、記事の公開前チェックリストとしてそのまま使えます。ただし全項目を毎回確認する運用は続きません。クライアントのメディアでは、入稿前に「Who・How・Whyの3点に答えられるか」だけを必ず通す形にして、残りは四半期に一度の棚卸しで見る運用にしているケースがあります(出典:Google検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」)。
SEOライティングとE-E-A-Tの関係
※基礎施策の全体像はSEO対策の基本、AI検索側の評価軸はAIO対策(AI検索最適化)とは?で扱っています。
SEO対策の基本記事でもE-E-A-Tの重要性に触れましたが、SEOライティングにおいてE-E-A-Tが具体的にどう影響するか、3つのポイントに絞ります。
1つ目は、記事の構成段階でExperienceを設計することです。構成を作るとき、「この記事のどこに一次情報を入れるか」を先に決めてしまう。後付けで体験談を入れると取ってつけた感が出ます。最初から「H2の○○セクションに事例を入れる」と設計しておくのがコツです。
2つ目は、「主張→根拠→出典」の流れを作ることです。引用が多いと読みにくくなりますが、「○○という傾向がある。△△の調査でも〜と報告されている(出典:○○)」の型を使えば、自然に文章に溶け込みます。
3つ目は、著者の「声」を出すことです。「現場で見ていて感じるのは」のような主観的な表現を恐れない。AIが書いた記事との最大の違いは、経験に基づく「その人ならでは」の視点があるかどうかです。
よくある誤解と実務上の疑問
クライアントからよく受ける質問を3つだけ取り上げます。
「E-E-A-Tスコア」は存在する?
存在しません。E-E-A-Tは品質評価者が手動で使う概念的なフレームワークであり、アルゴリズムが算出するスコアではありません。ただし、著者情報の有無や被リンクの質といった個別シグナルはアルゴリズムが読み取っていると考えられます。
小さい会社にAuthoritativeness(権威性)は無理では?
ドメイン全体で大手メディアに勝つのは難しくても、E-E-A-Tの権威性は「そのトピックにおける」権威性です。ニッチな専門領域に絞れば十分に築けます。「BtoB SaaSのCVR改善」のように絞り込めば、実績と発信の積み重ねで業界内の認知は取れます。
AI生成コンテンツはE-E-A-Tの敵?
敵ではなくツールです。AIで下書きを作り、人間が一次情報と経験を加え、専門家がレビューする。この工程なら効率的に質の高いコンテンツが作れます。問題は、AIが生成した文章をそのまま大量公開することです。2025年9月のガイドライン更新でも、AIで低品質に大量生産されたコンテンツは最低品質と評価されることが明記されています(出典:Google Search Quality Rater Guidelines, September 11, 2025)。
E-E-A-Tを高めてから、順位に反映されるまでどれくらいかかる?
明確な期間は公表されていません。著者情報の整備や構造化データの実装そのものは数日で終わりますが、Googleが再クロールして評価に反映するまでには時間がかかります。加えて、コアアップデートのタイミングで評価が動くケースもあります。数週間で変化が見えることもあれば、次のコアアップデートまで動かないこともある、という前提で計画を立てるのが現実的です。短期の順位変動だけで施策の良し悪しを判断しないほうがよいです。
監修者をつければE-E-A-Tは満たせる?
監修は有効ですが、それだけでは足りません。名前を借りただけで実際には中身を見ていない監修は、読者にも伝わります。監修者が何を確認したのかを明記する、監修者のプロフィールページを用意して経歴と資格を載せる、監修日を記載する。ここまでやって初めてTrustworthinessの材料になります。
被リンクはAuthoritativeness(権威性)に関係する?
関係します。ただし本数ではなく、どこから張られているかです。業界メディア、公的機関、取引先の事例ページからの言及は、そのトピックにおける認知の証拠になります。一方、リンク集サイトや相互リンクを増やしても権威性の材料にはなりません。リンクを伴わない言及(サイテーション)も含め、外部でどう語られているかが評価対象になると考えておくとよいです。
著者を実名で出せない場合はどうする?
BtoBでは「担当者名を社外に出せない」という事情がしばしばあります。その場合は、部署名や役割での署名(「マーケティング部 Webサイト担当」など)に、経歴の要素を添える形が現実的です。「同業界で10年、支援実績◯社」といった情報があれば、匿名の「管理者」表記よりは伝わります。ただし実名と顔写真に比べれば弱くなります。可能であればビジネスネームでもよいので、個人として出すことを検討したほうが効果は大きいです。
E-E-A-Tは「やるべきこと」ではなく「当たり前にすべきこと」
最後に、E-E-A-Tに対するスタンスの話をして終わりにします。
E-E-A-Tを「SEO施策の1つ」として捉えると、どうしても「やらなければいけないこと」リストの一項目になります。でも本質は違います。E-E-A-Tが求めているのは「ユーザーに正確で信頼できる情報を、経験に基づいて提供すること」です。これは本来、Webコンテンツを作るうえで当たり前のことのはずです。
Googleがわざわざ評価基準として明文化しているのは、当たり前のことをやっていないサイトが多いからです。著者がわからない、出典がない、経験に基づかない。そういうコンテンツがWebに溢れているから、Googleは基準を設けて品質を担保しようとしています。
だから、E-E-A-Tの施策を「Googleのため」にやるのではなく、「自社のコンテンツの質を上げるため」にやる。この視点で取り組めば、仮にGoogleのアルゴリズムが変わっても、やったことが無駄になることはありません。質の高いコンテンツは、どんな検索エンジン環境でも価値を持ち続けます。
株式会社ティーラでは、E-E-A-Tの強化を含むSEO対策、コンテンツマーケティングの設計・改善を支援しています。「自社サイトのE-E-A-T状況を診断してほしい」「著者情報の整備や構造化データの実装を手伝ってほしい」といったご相談にも対応いたします。まずは現状分析から始めましょう。SEO・コンテンツ改善の資料をダウンロードする。
参考文献
- Google Search Central Blog「Our latest update to the quality rater guidelines: E-A-T gets an extra E for Experience」2022年12月 https://developers.google.com/search/blog/2022/12/google-raters-guidelines-e-e-a-t
- Google Search Quality Rater Guidelines(September 11, 2025版) https://guidelines.raterhub.com/searchqualityevaluatorguidelines.pdf
- Search Engine Land「E-E-A-T and major updates to Google’s quality rater guidelines」2022年12月 https://searchengineland.com/google-search-quality-rater-guidelines-changes-december-2022-390350
- Google Search Central Blog「What web creators should know about our March 2024 core update and new spam policies」2024年3月 https://developers.google.com/search/blog/2024/03/core-update-spam-policies
- Google検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」 https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/creating-helpful-content
- Google Search Central Blog「Google Search’s guidance about AI-generated content」2023年2月 https://developers.google.com/search/blog/2023/02/google-search-and-ai-content
- Google Search Central「構造化データの仕組みについて」 https://developers.google.com/search/docs/appearance/structured-data/intro-structured-data