「50万かけて作ったLP、問い合わせゼロなんですけど」

先月、BtoB向けにITインフラの保守サービスを提供している企業の担当者からSlackでこう連絡がありました。制作会社に依頼して作ったLP。デザインはきれい。コーディングも丁寧。広告も回している。でも、公開から3週間でCVはゼロ。

LPを見せてもらったところ、30秒で原因の見当がつきました。ファーストビューのキャッチコピーが「次世代ITインフラで貴社のDXを加速」。CTAは最下部に1つだけ、文言は「お問い合わせ」。フォームは12項目。

典型的な「作っただけのLP」の状態でした。

結論から言うと、このLPはその後、UIの改善だけでCVRが0%から1.4%まで上がっています。広告のクリエイティブもターゲティングもいじっていません。変えたのはLP側のUI——コピー、CTA、フォーム、情報の並び順。この記事で書く内容そのものです。

LPのCVRには業界ごとの相場があります。Unbounceが16業種・約4万4,000のLPを分析した調査では、全業種の中央値は4.3%。ただしBtoBやSaaSに絞ると2〜5%程度が現実的なレンジです。自社のLPが1%を切っているなら、UI上の改善余地がかなりある可能性が高いです。

ここからは、実際のクライアント案件で効果を確認してきた順——インパクトが大きく、かつ手をつけやすいものから——10のポイントを紹介します。10個を均等に並べるつもりはありません。最初の3つが全体の効果の大半を占めると考えてください。

1. ファーストビューのキャッチコピー——ここが全体の勝負を決める

10個の中で、圧倒的に優先度が高いのがファーストビューのキャッチコピーです。

理由はシンプルです。Nielsen Norman Groupの研究によると、ユーザーの閲覧時間のうち57%がスクロールなしで見える範囲(Above the Fold)に集中しています。つまり、ファーストビューで「自分には関係ない」と判断されたら、その下にどれだけ良いコンテンツを置いても読まれません。

なぜ「刺さらないコピー」が量産されるのか

LPのキャッチコピーで多いのが、自社目線の抽象的なフレーズです。

  • 「最先端テクノロジーで業務革新を」
  • 「DXを推進するパートナー」
  • 「あなたのビジネスを次のステージへ」

どれも間違ったことは言っていません。でも、訪問者が検索して、広告をクリックして、LPにたどり着いたとき、頭にあるのは「自分の具体的な課題」です。抽象的なコピーでは「で、うちの問題を解決してくれるの?」に答えられません。

「課題の言語化」に変えるだけで数字が動く

クラウド型の経費精算サービスを提供するBtoB企業のLPを改善したとき、メインコピーを「スマート経費精算クラウド」から「経費精算、まだ紙の領収書を貼っていませんか?」に変更しました。

結果、CVR(無料トライアル申込率)は0.9%から2.4%に上昇。改善幅は約2.7倍です。

もう1つ。製造業向けの設備管理SaaSのLPで、「設備管理のDXを実現」を「設備の突発故障、月に何回起きていますか?」に変更したケースでは、資料請求率が1.1%から2.6%に改善しました。

どちらにも共通しているのは、訪問者が日常的に感じている「面倒」「不安」「課題」を具体的な言葉でそのまま書いているということです。ターゲットの頭の中にある言葉を使うのがコツです。

コピー改善のチェックリスト

キャッチコピーを見直すとき、以下の3点を確認することをおすすめします。

  • 具体的な数字が入っているか:「業務効率化」より「月30時間の工数削減」
  • ターゲットの課題を言語化しているか:自社の強みではなく、相手の困りごとを起点に
  • 読んだ瞬間に「自分のことだ」と感じるか:社内の人間ではなく、想定顧客に読ませて確認する

キャッチコピーの変更は、実装コストがほぼゼロです。テキストを書き換えるだけ。にもかかわらず、CVRへのインパクトが10個の中で最大。だから最初にやるべき改善です。

2. CTAの配置と文言——「押したくなるボタン」を「目に入る場所」に

ファーストビューの次にテコ入れすべきはCTAです。ここも大きく動きます。

「ページ最下部にだけCTA」という問題

CTAボタンがページ最下部に1つだけあるLP、という設計は少なくありません。LP全体をスクロールして読み終わった人だけがCTAにたどり着ける設計です。

しかし全体をスクロールする人はどれくらいいるでしょうか。Contentsquareの2024年のデジタルエクスペリエンスベンチマークレポートでは、LPの平均スクロール率は約44%と報告されています。つまり、ページの半分より下にしかCTAがないと、過半数のユーザーはCTAの存在に気づかないまま離脱している計算です。

配置の鉄則:3箇所+追従バー

LP改善で提案する配置パターンはだいたい以下の組み合わせです。

  • ファーストビュー内:最優先。ページを開いた直後に見える位置に置く
  • ベネフィット提示の直後:「なるほど、良さそうだ」と思った瞬間にCTAがある
  • 事例・実績セクションの直後:「他社でも成果が出てるんだ」と思ったタイミング
  • 追従バー(スティッキーCTA):スクロールしてもついてくるボタン。どの位置からでもアクションに進める

BtoB向けのコンサルティング会社のLPで、CTAを最下部1箇所からファーストビュー+中間2箇所+追従バーに変更したところ、問い合わせ数が月12件から月22件に増えた事例があります。LP本文は一切変えていません。

文言は「押した先の体験」を書く

CTAの文言も数字に直結します。

「お問い合わせ」というボタン。押した先に何が起きるかわかりにくいと感じている訪問者は少なくありません。営業電話がかかってくるのか、メールが来るのか、フォームが出るのか。想像しにくいから押せない、という心理が働きます。

Unbounceのコンバージョンベンチマークレポートでも、CTAの文言は高CVRページと低CVRページの明確な差異要因として挙げられています。

改善のポイントは「動詞+ベネフィット+ハードルの低さ」を1行に詰めることです。

改善前改善後
お問い合わせ無料で相談してみる
資料請求成功事例つき資料をもらう(30秒)
送信見積もりを受け取る

「無料」「30秒」「成功事例つき」——ボタンを押す心理的ハードルを下げる要素を入れるだけで、クリック率は変わります。あるBtoB SaaSのLPで「お問い合わせ」を「無料で導入相談する」に変えたところ、CTAクリック率が1.7倍になりました。

3. フォームの簡素化——項目を減らすのが最大の改善

CTAをクリックしてくれた。でもフォームで離脱される——これが3番目に多い機会損失です。

The Manifestの調査によると、オンラインフォームユーザーの81%がフォーム入力中に離脱した経験があると回答しています。理由のトップは「項目が多すぎる」です。

「5項目以下」を目安にする

HubSpotの分析では、入力フィールドを4個から3個に減らすだけでCVRが約50%向上したケースが報告されています。BtoBの初回接点で聞くべきは、名前・メールアドレス・相談内容の3つで十分なことがほとんどです。会社名、部署名、電話番号、予算、導入時期——こういった情報は商談で聞けばよいです。

あるIT企業の問い合わせフォームで入力項目を11個から4個に減らしたところ、フォーム完了率が38%から67%に改善しました。営業から「事前情報が減った」と声が上がりましたが、問い合わせ件数が1.8倍になったことで、リードの総量は大幅に増えています。

ステップ分割と入力補助

項目をどうしても減らせない場合は、マルチステップ化が有効です。ステップ分割フォームのほうがCVRが高い傾向は、複数の調査で報告されています。

「Step 1 / 3」のように進捗を見せるだけで、心理的負荷が下がります。加えて、リアルタイムバリデーション(入力ミスをその場で教える)、郵便番号からの住所自動入力なども、離脱を防ぐ効果があります。

4. ページ読み込み速度——「遅い」はそれだけで致命的

ここからは、上の3つほど派手な改善幅は出にくいものの、確実にCVRの底上げにつながる施策です。

Googleの公開データによると、モバイルページの読み込み時間が1秒から3秒に増えると直帰率は32%増加します。5秒なら90%増加。ページが遅いだけで、良いコンテンツであっても読んでもらいにくくなります。

まずPageSpeed Insightsでモバイルスコアを確認することをおすすめします。50点以下なら改善の余地が大きいです。

改善の定番は4つです。

  • 画像のWebP変換とリサイズ:これだけで2〜3秒改善することもある
  • 不要なJavaScript・CSSの除去:使っていないプラグインやトラッキングタグを整理
  • CDNの導入とキャッシュ設定
  • 遅延読み込み(Lazy Load):ファーストビュー以外の画像や動画は後から読み込む

経験上、モバイルスコアを50点台から80点台に改善すると、CVRが5〜15%程度向上するケースが多いです。地味ですが、確実に効きます。

5. 社会的証明——「他社も使っている」が最後のひと押しになる

「サービス内容はわかった。でも本当に大丈夫?」

気になるポイントですよね。訪問者がCTAを押す直前で感じるこの不安を解消するのが社会的証明です。導入実績、クライアントロゴ、お客様の声、具体的な成果数値。

Spiegel Research Centerの研究では、レビューが表示されている商品の購入率は、レビューがない商品と比較して270%高いという結果が出ています。EC向けの調査ですが、BtoBでも「第三者の評価がある」ことの信頼性効果は同様です。

ポイントは具体性です。

  • NG:「多くのお客様にご満足いただいています」
  • OK:「株式会社〇〇 マーケティング部 田中様——導入3ヶ月で問い合わせ数が1.8倍に」

ロゴの数も重要です。3社より10社、10社より30社。並んでいるロゴの数自体が「信頼されている会社だ」というメッセージになります。導入実績が少ない段階なら、代わりにメディア掲載実績、受賞歴、有資格者の数など、使えるものを積極的に活用することが有効です。

社会的証明はコンテンツさえあれば実装コストが低い施策です。今あるお客様の声や事例を集めてLPに載せるだけでも効果が出ます。

6. ビジュアル——ストック写真を実写に変えるだけで信頼が変わる

LPのメイン画像に「笑顔で握手するビジネスパーソン」のストック写真を使っているサイトはまだ多いです。ユーザーは見た瞬間に「素材写真だな」と認識しています。

代わりに使うべきは、実際のプロダクト画面、実際のオフィスや現場の写真、実際のチームメンバーの顔写真です。

ある製造業向けSaaSのLPで、ファーストビューの画像をストック写真から管理画面のスクリーンショットに変更したところ、直帰率が8ポイント下がりました。訪問者が「自分が使うとこうなるのか」と具体的にイメージできたからだと判断しています。

BtoBのLPでは、管理画面のキャプチャ、Before/Afterの数値比較、導入フローの図解あたりが効果的です。「きれいな画像」ではなく「情報を伝える画像」を選んでください。

7. 情報の順序——「伝える順番」を間違えると全部無駄になる

LPのUI改善というと、個々のパーツ(コピー、ボタン、画像)に注目しがちですが、情報をどの順序で並べるかもCVRに大きく影響します。

よくある失敗が「機能紹介から始まるLP」です。訪問者はまだ「自分の課題をこのサービスが解決してくれるか」を判断している段階なのに、いきなり機能一覧を見せられても響きません。

BtoB向けLPで効果が出やすい構成パターンはこうです。

  1. 課題の提示(ファーストビュー):「こんなことで困っていませんか?」
  2. 原因の深掘り:なぜその課題が起きるのか
  3. 解決策の提示:このサービスがどう解決するか
  4. 具体的な機能・ベネフィット:ここで初めて機能を見せる
  5. 社会的証明:実績、事例、お客様の声
  6. FAQ / 不安の解消
  7. CTA

この流れはPASONAの法則(Problem → Affinity → Solution → Offer → Narrowing → Action)に近い考え方です。訪問者の心理状態に合わせて情報を出す順番を設計することが重要です。

情報の並び替えは、コンテンツの中身を変えずにセクションの順序を入れ替えるだけなので、実装コストはほぼゼロです。しかし、ページ全体の説得力が大きく変わります。

8. モバイルファースト——「レスポンシブ対応済み」では不十分

Statcounterの2025年の統計によると、日本のWebトラフィックの50%以上がモバイルデバイスからのアクセスです。BtoBでも、通勤中や移動中にスマートフォンで情報収集する担当者は増えています。

「うちのサイトはレスポンシブ対応しています」と言われることが多いのですが、レスポンシブ=モバイルで快適に使える、ではありません。デスクトップのデザインをそのまま縮小表示しているだけのサイトが少なくないです。

チェックすべきポイント:

  • CTAボタンのタップ領域:最低でも高さ48px以上
  • フォームの入力しやすさ:入力欄の幅、キーボードとの干渉
  • テキストのフォントサイズ:本文16px以上が目安
  • 電話番号のタップ発信:タップですぐ電話できるようになっているか

確認方法はシンプルです。実際にスマートフォンで自社のLPを開いて、フォーム送信まで完了してみることをおすすめします。自分で使ってストレスを感じるなら、訪問者はさらにストレスを感じている可能性があります。

9. マイクロコピー——小さな文言が不安を消す

マイクロコピーとは、CTAボタンの周辺やフォームの近くに配置する短い補足テキストのことです。目立たない存在ですが、CVRに地味に効きます。

たとえばフォームの送信ボタンの下に「※ご入力いただいた情報は、お問い合わせへのご回答にのみ使用します」と一文入れるだけで、個人情報への不安が軽減されます。

CTAボタンの近くに置くと効果的なマイクロコピーの例:

  • 「無料・30秒で完了」(ハードルの低さ)
  • 「営業電話はいたしません」(不安の解消)
  • 「〇〇社以上が導入済み」(社会的証明の補強)
  • 「今なら初月無料」(行動の後押し)

こういった小さな文言の追加は数分で実装できます。ABテストの対象としても扱いやすく、効果検証がしやすい改善ポイントです。

10. ABテストの継続——「1回改善して終わり」が最大の損失

最後に、ここまでの9つのポイントを「なんとなくの改善」で終わらせないための仕組みとして、ABテストの継続を挙げます。

DRIPの調査によると、統計的に有意な勝ちが出るABテストは全体の約36%です。3回に2回は「差がつかない」か「負け」です。だからこそ、1回テストして満足するのではなく、打席に立ち続ける必要があります。

同調査では、テスト頻度を3倍に増やした企業は、年間の売上改善幅が2.5〜3.5倍になったという結果も出ています。

テストの優先順位

ここまでの10ポイントがそのままテストの優先順位です。

  1. キャッチコピーのABテスト(最もインパクトが大きい)
  2. CTA文言・配置のテスト
  3. フォーム項目数のテスト
  4. ビジュアル・レイアウトのテスト

一度に変える要素は1つ。テスト期間は最低2週間。BtoBサイトのようにトラフィックが少ない場合は1ヶ月以上の確保が望ましいです。

ABテストツールは、Google Optimize終了後も国産の選択肢があります。Optimize Nextはフリープランが0円、有料でも月額3,000円からで、中小企業のLP改善には十分な機能を備えています。(ABテストの詳しいやり方は「ABテストとは?やり方・ツール・成功事例をわかりやすく解説」で解説しています。)

どこから手をつけるか

10個並べましたが、全部同時にやる必要はありません。改めて優先度を整理します。

優先度改善ポイント実装コストCVRへのインパクト
★★★キャッチコピーほぼゼロ非常に大きい
★★★CTA配置・文言大きい
★★★フォーム簡素化低〜中大きい
★★☆ページ速度中〜大
★★☆社会的証明
★☆☆ビジュアル
★☆☆情報の順序ほぼゼロ
★☆☆モバイル対応
★☆☆マイクロコピーほぼゼロ小〜中
継続ABテスト長期的に大

まずはキャッチコピーの見直しとCTAの配置・文言改善から着手することをおすすめします。この2つだけで、CVRが2倍近く変わることも珍しくありません。

ただ、自社だけでLP改善を進めるのは意外と難しいです。自社のLPは毎日見ているから「何がおかしいか」に気づきにくい。改善の優先順位をつけるには他社事例や業界ベンチマークとの比較が必要で、それは自社だけでは集まりません。

冒頭で紹介したITインフラ企業のケースも、最初に入ったのは「サイト診断」からでした。GA(Google Analytics)のデータ、ヒートマップの離脱ポイント、競合LPとの比較。現状を数字で見える化してから、どこから手をつけるかを決めた。その結果が、CVR 0%から1.4%への改善につながっています。

弊社CVアップパートナーズでは、LPのCVR改善を専門に支援しています。GAの計測環境整備、ヒートマップ分析、ABテスト設計から実施まで一気通貫です。

「LPを作ったけど成果が出ない」「どこから直せばいいかわからない」——そういった状況であれば、まず無料サイト診断で現状を把握するところから始めてください。数字を見れば、何から手をつけるべきかが見えてきます。

無料サイト診断を申し込む


参考文献

※1:Unbounce. “The Conversion Benchmark Report.” https://unbounce.com/conversion-benchmark-report/

※2:Nielsen Norman Group. “Scrolling and Attention.” https://www.nngroup.com/articles/scrolling-and-attention/

※3:Contentsquare. “2024 Digital Experience Benchmarks.” https://contentsquare.com/insights/digital-experience-benchmark/

※4:The Manifest. “How People Use Online Forms in 2024.” https://themanifest.com/web-design/blog/how-people-use-online-forms

※5:HubSpot. “How to Optimize Landing Page Form Fields for Conversions.”

※6:Contentsquare. “10 A/B Testing Metrics + KPIs You Need to Track.” https://contentsquare.com/guides/ab-testing/metrics/

※7:Google. “Find out how you stack up to new industry benchmarks for mobile page speed.” https://www.thinkwithgoogle.com/marketing-strategies/app-and-mobile/mobile-page-speed-new-industry-benchmarks/

※8:Spiegel Research Center. “How Online Reviews Influence Sales.” https://spiegel.medill.northwestern.edu/how-online-reviews-influence-sales/

※9:Statcounter GlobalStats. “Mobile vs Desktop Market Share Japan.”

※10:DRIP. “A/B Testing Statistics: Win Rates, Uplift & ROI Data (2026).” https://dripagency.de/blog/ab-testing-statistics