CVR改善の外注費用は、施策実行込みのコンサル型で月額15万〜50万円が相場です。費用が高いかどうかは何と比較するかで変わり、広告費との対比やROIで見ると判断が変わってきます。広告費は出稿を止めた瞬間に効果が消えるのに対し、CVR改善はサイト自体が良くなるため効果が蓄積する、ストック型の投資という性質を持ちます。

「月額30万円は正直きつい」。先日、人材紹介のスタートアップで取締役を務める方と話していて、こんな言葉が出ました。CVR改善のコンサルに興味はあるものの、月30万円は予算的にハードルが高い、と。

その会社は、リスティング広告に月200万円をかけていました。

200万円の広告費は「普通の投資」として通るのに、30万円のCVR改善は「高い」と感じる。この感覚のズレは、実はかなり多くの会社で起きています。そして、このズレが解消されると「なぜ早くやらなかったのか」という反応に変わるケースをよく見かけます。

この記事では、CVR改善の費用相場を具体的な数字で整理した上で、ROI(投資対効果)をどう計算するかを解説します。費用が高いと感じている方に、判断材料を提供できればと思います。

CVR改善の費用相場(4つのタイプ別)

CVR改善サービスの費用は、依頼の仕方で大きく変わります。前回の記事でも触れましたが、ここでは費用にフォーカスしてもう少し掘り下げます。

タイプ1:分析レポート型(月額5万〜15万円)

GAやヒートマップ(Microsoft Clarity等)のデータを分析し、月次レポートを提出するタイプです。改善施策は提案までで、実装はクライアント側が行う形になります。

向いているのは、社内にフロントエンドエンジニアやWebデザイナーがいて、施策の実行は自分たちでできるけれど、分析の目が足りない会社です。

費用が安い反面、レポートを受け取っても何をどう直せばいいか分からない、という事態になりやすい点に注意が必要です。月10万円で12ヶ月契約すれば年間120万円。改善が進まなければ丸ごと無駄になります。

タイプ2:施策実行込みのコンサル型(月額15万〜50万円)

分析からABテストの設計・実装、デザイン修正、効果検証まで一気通貫で回すタイプです。中小企業のCVR改善で一番多い価格帯になります。

このタイプの費用感をもう少し細かく見ると、次のようになります。

月額帯含まれるサービステスト回数の目安
15万〜25万円月次分析+ABテスト1〜2本+簡易レポート月1〜2回
25万〜40万円週次分析+ABテスト3〜5本+施策提案+実装月3〜5回
40万〜50万円常時モニタリング+テスト5本以上+UI改善提案月5回以上

重要なのは、月額の中に何が含まれているかです。コンサル会社の選び方の記事で書いた「半年の総額で比較する」という話とつながりますが、ABテストツールの費用(月額3万〜10万円程度)やテスト用バナーの制作費(1点2万〜5万円)が別請求になるケースは多くあります。

タイプ3:スポット型のサイト改善(30万〜150万円)

月額契約ではなく、一回きりでサイトを改善してほしいという依頼です。LPのリニューアル、フォーム改善、ファーストビューの再設計などが含まれます。

費用の目安は次の通りです。

  • LP1ページの改善設計+実装:30万〜80万円
  • フォーム改善(分析〜実装〜検証):20万〜50万円
  • サイト全体のCVR改善診断+改善提案書:15万〜40万円
  • サイト全体の改善設計+実装:80万〜150万円

スポット型の難点は、一度直して終わりになりがちなことです。サイト改善は一度やって放置するものではなく、継続的に仮説検証を回して初めて成果が積み上がります。スポットで成果が出たとしても、3ヶ月後には市場やユーザーの行動が変わっています。そのため、スポット型は改善の基盤を作るための初期投資として使い、そのあとコンサル型に移行する、という組み方が現実的です。

タイプ4:ツール提供+運用支援型(ツール費+月額10万〜20万円)

Web接客ツール(ポップアップ、チャットボットなど)の導入と設定代行を組み合わせたタイプです。ツール自体の月額費用が別途かかります。

ツール費は安いもので月額1万円台から、エンタープライズ向けだと月額20万〜30万円。ツール費+運用支援で月額20万〜40万円が総額の目安になります。

このタイプは当たり外れが大きい印象があります。ツール自体が自社サイトに合っていればCVRが上がることもありますが、ポップアップを出せば上がるという単純な話ではありません。ユーザーがなぜCVしないのかという根本原因に向き合わずにツールを載せても、邪魔なポップアップが増えるだけになりがちです。

見落としやすい「隠れコスト」

費用相場を把握したところで、見積もりに出てこないコストについても触れておきます。ここを見落とすと「こんなはずではなかった」となりやすい部分です。

初期費用がまず挙げられます。計測環境の整備(GAのイベント設計、ヒートマップ導入)やサイト診断を初期費用として10万〜30万円請求する会社は普通にあります。月額には含まれません。

ツール費の別請求もあります。ABテストツール(VWO、Optimizelyなど)は月額3万〜15万円。ヒートマップツールは無料のMicrosoft Clarityを使うケースもあれば、有料のContentsquareだと月額数十万円。これが月額コンサル費用に上乗せされます。

制作費の追加請求にも注意が必要です。テスト用のバナーやLPバリエーションの制作を都度見積もりにする会社もあります。1点2万〜5万円、月に3〜4点作れば10万〜20万円になります。

契約期間の縛りも見落とせません。最低契約期間が6ヶ月や12ヶ月の場合、途中で合わないと感じても解約できない。実質的には契約期間全体の総額がコミットされた費用になります。

あるクライアントの案件では、「月額20万円」の見積もりに対して、半年で実際にかかった費用を集計したら168万円でした。内訳は月額20万円×6ヶ月(120万円)+初期費用20万円+ツール費月3万円×6ヶ月(18万円)+制作費計10万円。月あたりに均すと28万円で、月額20万円のつもりが4割増しになっていた計算です。

そのため、費用を比較するなら「半年間の総額でいくらになりますか。初期費用、ツール費、制作費、すべて込みで」と聞くことをおすすめします。これが一番正確な比較軸になります。

広告費との比較——なぜCVR改善は割安になりうるのか

ここから本題です。CVR改善の費用を高いと感じるか安いと感じるかは、何と比較するかで変わります。

冒頭の人材紹介スタートアップの例を使って計算してみます。

現状の数字は次の通りです。

  • 月間広告費:200万円
  • 広告経由のサイト訪問数:月20,000セッション(CPC 100円)
  • CVR:1.5%
  • 月間CV数:300件
  • 1件あたりの獲得コスト(CPA):6,667円

この会社がCVを月に50件増やしたいとします。

方法A:広告費を増やす

CVR1.5%のままCVを50件増やすには、3,333セッションの追加が必要です。CPC100円として、月33万円の広告費追加、年間396万円になります。

ただし、広告は予算を増やすと効率が落ちます。CPCが100円から120〜150円に上がることは普通にあり、そうなると追加予算は月40万〜50万円、年間480万〜600万円。しかもこの費用は、広告を止めた瞬間にCVもゼロに戻ります。

方法B:CVR改善に投資する

CVR改善コンサルに月額30万円を投資し、CVRを1.5%から2.0%に改善できたとします。0.5ポイントの改善は、適切に施策を回せば3〜6ヶ月で到達可能な水準です。

改善後の数字は次のようになります。

  • 月間訪問数:20,000セッション(変わらず)
  • CVR:2.0%(1.5%→2.0%)
  • 月間CV数:400件(300件→400件、+100件)
  • CPA:5,000円(6,667円→5,000円)

CVが100件増え、CPAが25%下がりました。しかもこの改善は広告費に関係なく持続します。広告費200万円はそのまま、CVR改善費30万円を足した230万円で、400件のCVを獲得している計算です。

CVR改善に月30万円、半年間で180万円の投資。半年後にCVRが1.5%→2.0%に改善されれば、月100件のCV増加×CPA6,667円分で、月66.7万円の価値が生まれる計算になります。

半年間の投資180万円に対して、改善後は毎月66.7万円の効果。3ヶ月で回収が完了する水準です。

広告費を増やす場合と違い、CVR改善の効果は広告を止めても残ります。サイト自体が良くなっているため、SEOからの流入でもSNSからの流入でもCVRは上がる。改善が蓄積するストック型の投資です。

ROIの計算方法(自社の数字で試算する)

「先ほどの例は理想的すぎないか」と思われたかもしれません。もう少し保守的に、自社の数字で計算できるフレームワークを整理します。

ステップ1:現状の数字を把握する

最低限必要なのは以下の4つです。GAで取得できます。

  • 月間セッション数(広告経由、自然検索、その他)
  • 現在のCVR
  • 月間CV数
  • 1件あたりの顧客単価(LTV、または平均受注額)

BtoBの場合、CVの先に商談 → 受注というファネルがあります。CV=問い合わせの場合、問い合わせからの商談化率と受注率、平均受注単価まで把握しておくと、ROI計算の精度が上がります。

ステップ2:改善目標を設定する

CVRの改善幅の目安として、実務上の感覚を共有します。

現状のCVR改善目標の目安(3〜6ヶ月)備考
0.5%未満0.5〜1.0%構造的な問題がある可能性。大幅改善の余地あり
0.5〜1.0%1.0〜1.5%フォームやCTA周りの改善で到達しやすい
1.0〜2.0%1.5〜2.5%ABテストの積み重ねで着実に伸ばせる
2.0%以上+0.3〜0.5ptすでに高いCVRは大幅改善が難しい。小さな改善を積む

業界平均のCVRはWordStreamの調査(参照:WordStream Google Ads Benchmarks 2024)で業種別に見ると、BtoBサービスで2〜3%、ECで1〜2%、不動産で1〜2%程度です。自社がこの平均を大きく下回っているなら、改善余地は大きいと考えられます。

ステップ3:ROIを計算する

計算式は次の通りです。

ROI = (CVR改善による利益の増加額 − CVR改善への投資額) ÷ CVR改善への投資額 × 100

具体例で計算します。BtoBサービスの場合を想定します。

  • 月間セッション:10,000
  • 現在のCVR:1.0%(月間CV 100件)
  • CV→商談化率:30%(月30商談)
  • 商談→受注率:20%(月6件受注)
  • 平均受注単価:50万円
  • 月間売上:300万円

CVRが1.0%→1.5%に改善した場合は次のようになります。

  • 月間CV:150件(+50件)
  • 月間商談:45件(+15件)
  • 月間受注:9件(+3件)
  • 月間売上増加:150万円

CVR改善の月額費用が30万円だとすると、月間の追加売上150万円に対して費用30万円で、ROIは400%です。

もちろん、これはCVRが想定通りに改善した場合の計算です。テストが外れることもあれば、改善に時間がかかることもあります。保守的に見積もるなら、改善幅を半分(0.25ポイント)にして、達成までの期間を2倍(6ヶ月→12ヶ月)にして計算するくらいでちょうど良いでしょう。それでもROIがプラスなら、投資する価値があります。

ステップ4:損益分岐点を確認する

CVRがどれだけ改善すれば元が取れるかを先に計算しておくと、意思決定がしやすくなります。

たとえば月額30万円の投資で、1件のCVから生まれる利益(粗利)が5万円なら、月に6件CVが増えれば損益分岐です。月間10,000セッションでCVRが1.0%なら、損益分岐に必要なCVRは1.06%。0.06ポイントの改善で元が取れる計算になります。

この計算を自社の数字でやってみると、CVR改善は思ったよりハードルが低いと感じるケースが多いはずです。

それでも「高い」と感じる場合の考え方

ROIの計算でプラスになると分かっても、キャッシュフロー的に月額30万円が厳しいケースはあります。その場合のオプションをいくつか挙げます。

まず小さく始める方法があります。月額15万〜20万円の範囲で、改善のインパクトが最も大きいポイント(多くの場合フォーム周り)だけに絞って依頼する。全体を一気にやるのではなく、最もCVに近い部分から手をつけ、成果が出たら範囲を広げます。

スポット診断から入る方法もあります。15万〜30万円のスポットでサイト診断と改善提案書を作ってもらい、実装は自社で行う。外注費を抑えつつ、プロの視点は入ります。

広告費の一部を振り替える方法も有効です。月200万円の広告費のうち30万円をCVR改善に回す。広告費は170万円に減りますが、CVRが改善すればCV数は減らない、もしくは増える。全体の予算は変わらないため、社内の稟議も通りやすくなります。

この3つ目の広告費の振り替えは、実際にクライアントに提案してうまくいったパターンです。広告費を10〜15%削って改善に回す。短期的にはCVが数%減るかもしれませんが、2〜3ヶ月後にはCVRの改善で補えるケースがほとんどです。広告の限界CPAが上がっている(費用対効果が悪化している)なら、なおさら有効になります。

予算別の現実的な打ち手

予算別にできることを整理します。

月額10万〜15万円の場合

できることは、月次の分析レポート、改善提案、フォーム周りの簡易ABテスト1〜2本です。

この予算帯でフルスコープの改善は難しいのが正直なところです。ただし、計測環境が整っていない会社にとっては、正しくデータを見る体制を作るだけでも価値があります。GAのイベント設定がおかしい、コンバージョン計測が二重になっている、といった問題は意外と多く、まずここを直すだけでも正しい判断ができるようになります。

月額20万〜35万円の場合

できることは、分析+ABテスト月3〜4本+施策実装+月2回の定例です。

ここが一番コスパの良い価格帯だと考えています。テストを月3本以上回せると、3ヶ月で9本以上のテストデータが蓄積されます。勝率を2〜3割とすると、2〜3本は有意に勝つテストが出る。それぞれが0.1〜0.3ポイントのCVR改善に寄与するなら、3ヶ月で0.2〜0.9ポイントの改善が見込めます。

月額40万〜50万円以上の場合

できることは、常時モニタリング、週次の改善サイクル、複数ページの同時テスト、UI/UX全体の設計改善です。

月間セッションが5万以上あり、CVRの0.1ポイント改善が月間売上で数百万円に響く規模のサイト向けです。投資額は大きいものの、ROIも大きくなりやすい。ECや求人ポータルなど、トランザクション型のサイトではこの価格帯が多くなります。

費用対効果を高めるための3つの原則

最後に、予算の大小にかかわらず、CVR改善のROIを上げるために意識したいことを3つ挙げます。

CVに最も近い場所から改善することが1つ目です。TOPページのファーストビューよりも、フォームの入力項目数や確認画面のデザインを先に改善する。理由は単純で、CVに近い場所の改善はCVRへの影響が直接的かつ即座に出るからです。ファネルの上流を改善しても、下流にボトルネックがあればCVは増えません。

テストの量を確保することが2つ目です。ABテストの勝率は2〜3割です(参照:CXL ABテストの勝率に関する調査)。月1本しかテストを回さなければ、3ヶ月やっても有意な勝ちが1本出るかどうか。月3〜5本回せば、3ヶ月で2〜4本の勝ちが見込めます。テスト量の差は、半年後の成果に直結します。

「広告費 対 改善費」の視点を持つことが3つ目です。追加のCVが必要なとき、広告費を増やすこととCVRを上げることは、同じ目的に対する別の手段です。広告のCPAが上昇傾向にあるなら、CVR改善のほうが費用対効果が高い可能性があります。Googleの広告プラットフォームのデータでも、多くの業種で過去5年間にCPCが上昇傾向にあります(参照:WordStream Google Ads Benchmarks 2024)。広告費は年々上がる一方で、CVR改善の効果は蓄積される。中長期で見たときにどちらが有利かは見えてきます。

CVアップパートナーズの費用感

費用相場の記事なので、弊社サービスの費用感にも触れておきます。

株式会社ティーラが提供するCVR改善サービス「CVアップパートナーズ」の基本的な考え方はシンプルです。

  • 月額固定。ツール費・制作費を含む
  • 最初の契約期間はクライアントと相談して決める(3ヶ月〜)
  • 初期費用はサイト診断の規模による(無料診断あり)

価格帯としては、この記事で書いた「タイプ2:施策実行込みのコンサル型」に該当します。分析からテスト、実装、検証まで一気通貫で行い、レポートだけ出して終わりにはしません。

料金の詳細はサイトの規模や現状によって変わるため、具体的な金額はお問い合わせいただいたほうが正確です。この記事で書いたROI計算を一緒に行い、「この投資で元が取れるか」を事前に試算してからスタートする進め方をしています。投資に見合わないと判断した場合は、その旨を率直にお伝えします。

費用は「コスト」ではなく「投資」として見る

CVR改善の費用を「月額いくらかかるか」だけで見ると、高いと感じるのは自然です。ただ、「その投資でいくらのリターンが見込めるか」をセットで考えると、判断は変わってきます。

月間セッションが1万以上あるサイトで、CVRが業界平均を下回っているなら、改善余地は確実にあります。損益分岐点のCVR改善幅を計算してみてください。多くの場合、0.1ポイント以下の改善で元が取れます。

コンサル会社の選び方外注のメリット・デメリットとあわせて、この記事が費用面の判断材料になれば幸いです。

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参照した一次ソース