WebマーケティングのKPI設計とは、最終ゴール(KGI)を達成するために追うべき中間指標を、因果関係でつないで設計することです。基本は「KGIを1つに絞り、それを構成するKPIに分解し、KPIを動かすための行動量(KDI)まで落とし込む」という3層構造で組み立てます。指標を30個も並べるのはデータ収集であってKPI設計ではありません。「この数字が改善すれば、売上にどうつながるか」を説明できる指標だけを、合計10個以内に絞り込むことが出発点になります。

ECとBtoBの両方を手がけている中堅メーカーから「Webマーケティングがうまくいっているのかどうか、正直わからない」という相談を受けたことがあります。月次のレポートを見せてもらうと、数字はぎっしり並んでいました。PV、UU、直帰率、ページ滞在時間、SNSのフォロワー数、広告のインプレッション。全部で30項目以上。レポートの出来栄えは立派でしたが、では次に何をすべきかを聞くと、担当者の手が止まりました。

「数字は見ているけれど、判断ができない」。この状態は、KPIの設計がうまくいっていないときに起きます。指標が多すぎるのも問題ですが、もっと根本的には「この数字が良くなれば、売上にどうつながるか」の道筋が描けていない。数字の羅列は報告であって、意思決定の材料にはなっていません。

この記事では、WebマーケティングにおけるKPI設計の基本を、実務の視点から書いていきます。フレームワークの話もしますが、それよりも「では明日からどう設計すればいいのか」の具体例に重きを置きます。

KGI・KPI・KDIの関係を正しく理解する

KPI設計の話に入る前に、言葉の整理をしておきます。KGI、KPI、KDIという3つの指標がどういう関係にあるのか。ここが曖昧なまま進めると、結局「全部追う」ことになって冒頭の状態に戻ります。

KGI(Key Goal Indicator)最終ゴール

事業の最終目標を1つの数字で表したものです。Webマーケティングの文脈では「月間売上」「月間受注件数」「年間LTV」のような、ビジネスの成果に直結する指標を指します。

ここで大切なのは、KGIは1つに絞ることです。売上もリード件数もブランド認知もPVも全部KGIだ、という設計をすると、何に集中すべきかがぼやけます。たとえば「月間のWeb経由売上を1,200万円にする」や「Web経由の問い合わせを月30件にする」。この粒度で1つに決めます。

KPI(Key Performance Indicator)中間指標

KGIを達成するために、途中経過として追うべき中間指標です。KGIが「目的地」なら、KPIは「現在地からの距離がわかる道標」です。

KGIが「月30件の問い合わせ」なら、KPIはその手前にある指標、たとえば「月間セッション数」「CVR(コンバージョン率)」「フォーム到達率」のようなものになります。KGIとKPIの間には因果関係がなければいけません。「この数字が改善すれば、KGIも改善する」と論理的に説明できるかどうかが判断基準です。

KDI(Key Do Indicator)行動指標

KPIを改善するために、日常的に行うべきアクションの量を測る指標です。「月間ブログ記事公開本数」「週のSNS投稿数」「月のABテスト実施回数」のように、自分たちの行動量を定量化したものになります。ここまで分解して初めて「来月、何をどれだけやればいいか」が明確になります。

3層構造の全体像

言葉だけだとイメージしにくいので、BtoBの問い合わせ獲得を例にして具体的に示します。

レイヤー指標名目標値の例関係性
KGIWeb経由の月間問い合わせ件数30件最終ゴール
KPI(1)月間セッション数15,000問い合わせの母数
KPI(2)サイト全体のCVR0.2%セッションからCVへの転換率
KPI(3)フォーム到達率5.0%CVRの先行指標
KDI(1)月間の新規記事公開本数8本セッション増加の施策
KDI(2)月間のLP改善施策実施数2回CVR改善の施策

この表を見ると、KGI 30件を達成するには「15,000セッション × CVR 0.2% = 30件」が必要だと分かります。セッションが足りないのかCVRが低いのか、ボトルネックが数字で見える。そしてセッションを増やすなら記事を書く、CVRを上げるならLP改善をする、とアクション(KDI)まで一直線につながります。

冒頭のメーカーの問題は、この3層構造がなかったことです。30個の指標はすべて横並びで、どれがKGIでどれがKPIなのか区分がなかった。だから数字を見ても判断ができなかったわけです。

Webマーケティングで追うべき指標の優先度

KGI・KPI・KDIの構造が分かったところで、次は「Webマーケティングで具体的にどの指標を追うべきか」の話です。

指標は無限にあります。GA(Google Analytics)だけでも何百という指標が見られます。全部を追う必要はありませんし、追ってもいけません。ここでは、BtoBのWebマーケティングを想定して、実務上の優先度が高い指標を解説します。

最優先で追うべき指標(Tier 1)

CVR(コンバージョン率)は、サイトに来た人のうち何%がコンバージョン(問い合わせ・資料DL等)に至ったかを示します。全指標の中で最も優先度が高いと言ってよいでしょう。理由はシンプルで、CVRはすべての施策の効果が集約される「合流地点」だからです。SEOで流入を増やしても、広告の質を上げても、最終的にCVRが低ければ成果になりません。逆にCVRを改善すれば、既存の流入がそのまま成果に変わります。

Ruler Analyticsの2025年の調査によると、BtoB企業のWebサイトにおける平均CVRは業種全体で2.9%、中央値で2.1%とされています。自社のCVRがこの水準を下回っているなら、サイト改善でまだ伸びしろがある可能性が高いです。

CPA(顧客獲得単価)は、1件のコンバージョンを獲得するのにかかったコストです。広告を運用しているなら必ず追います。CPAが上がり続けているなら、広告の効率が落ちているか、競合の入札が上がっているかのどちらか。放置すると広告費だけが膨らんでCVの数は変わらない、という状態に陥ります。CPAの改善には2方向あり、広告の最適化でクリック単価を下げるか、CVRを上げてクリックあたりの成果率を上げるか。後者のほうが持続性のある改善になります。

LTV(顧客生涯価値)は、1人の顧客が取引を通じてもたらす累計の売上です。BtoBでは特に重要になります。新規獲得のCPAがLTVを下回っていれば、その投資は利益を生んでいることになるからです。「問い合わせ1件あたり3万円のCPAは高い」と感じても、受注率が20%で受注単価が年間500万円、平均契約期間が3年なら、LTVは300万円。CPA 3万円はまったく問題ない水準です。逆にLTVを把握していないと、CPAだけを見て「高い」「安い」の判断がブレます。Bain & Companyの調査によると、顧客維持率を5%向上させると利益が25〜95%増加するとされています。新規獲得のCPAを下げることだけに注力して、既存顧客のLTVを無視するのは、マーケティング戦略として片手落ちです。

次に追うべき指標(Tier 2)

ROAS(広告費用対効果)は、広告費に対してどれだけの売上が生まれたかを示します。計算式は「広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100(%)」。ROAS 300%なら、1万円の広告費で3万円の売上を生んでいることになります。CPAが「1件いくらで獲得したか」を見るのに対して、ROASは「投資に対してどれだけリターンがあったか」を見ます。商品やサービスごとに単価が異なる場合はROASのほうが使いやすい。ただしBtoBの場合、広告クリックから実際の売上発生まで数か月かかることがあるので、6〜12か月のタイムラグを含めて計算しないと実態とズレます。

セッション数(チャネル別)は、サイトへの訪問数をチャネルごとに分解して見る指標です。オーガニック検索からの流入、広告からの流入、SNSからの流入、ダイレクト。全体のセッション数だけ見ていると、「広告を増やしたからセッションが増えた」のか「SEOが効いてオーガニック流入が増えた」のかが分かりません。チャネル別に分解して初めて、「オーガニック流入は横ばいだから、SEO記事の効果がまだ出ていない」という判断ができます。

直帰率・エンゲージメント率も押さえておきたい指標です。GAでは直帰率の定義が変わり、「エンゲージメントのなかったセッションの割合」を直帰率と呼ぶようになりました。裏を返せば、10秒以上の滞在、またはキーイベント発生、または2ページ以上の閲覧のいずれかを満たしたセッションがエンゲージメントありと判定されます。エンゲージメント率が低いページは、ユーザーがそのページで求めている情報を得られていないか、次のアクションの導線が弱い可能性があります。特に広告のランディングページでエンゲージメント率が低い場合は、広告文とページ内容のミスマッチを疑うのが妥当です。

注意が必要な指標(追うなとは言わないが)

PV(ページビュー)を単体で追うことの問題点は、PVが増えてもCVが増えるとは限らないことです。冒頭のメーカーがまさにこのパターンで、月間PVは前年比130%に伸びていたのに、問い合わせ件数は横ばいでした。PVが増えたのは社内のスタッフがよくアクセスしていたから、という落ちでした。PVを見るなら、「特定のコンバージョン導線上にあるページのPV」に限定する。サービスページや料金ページのPV推移を見るのは意味がありますが、ブログ全体のPVを追ってもアクションにつなげにくい。

SNSフォロワー数も、BtoBにおいてはビジネス成果との相関がかなり弱い指標です。1万人のフォロワーがいても、そこから月に1件も問い合わせが来ないBtoB企業は珍しくありません。SNSを活用するなら、フォロワー数ではなく「SNS経由のサイト流入数」と「SNS経由のCV数」を追うことが望ましいです。

検索順位は、特定キーワードの順位を追うこと自体は悪くないのですが、順位の変動に一喜一憂すると施策がブレます。検索順位は日々変動しますし、パーソナライゼーションの影響で人によって表示順が違います。順位よりも「Search Consoleのクリック数」で流入の実数を追うほうが実用的です。

「PVだけ追っていた」から脱却した事例

実際のケースで見たほうが分かりやすいので、担当した案件の話を紹介します。

状況:月次レポートがPV報告になっていた

関東のBtoBソフトウェア会社のケースです。Webマーケティングの運用は前任者から引き継いだ担当者がひとりで回していて、月次レポートにはPV、UU、人気記事ランキング、SNSフォロワー数が報告されていました。

PVは月間32,000で、前年比15%増。一見すると好調に見えます。しかしWeb経由の問い合わせは月に8件で、半年前と変わっていない。社長から「ブログをたくさん書いているのに問い合わせが増えないのはなぜか」と聞かれて、担当者が答えに詰まった、という状況で相談がありました。

問題の診断

GAを確認すると、いくつかの問題が見えました。

まず、PV 32,000のうち約60%がブログ記事へのオーガニック流入でしたが、ブログ記事からサービスページへの遷移率が1.2%しかない。つまりブログを読んだ人のほぼ99%が、サービスの存在を知らないまま帰っていました。記事にCTAがなく、ただ情報提供で終わっていたのが原因です。

次に、サービスページのCVR自体は2.1%と悪くない数字でしたが、サービスページへのアクセスが月に約380セッションしかなく、CVの絶対数が伸びない構造でした。

さらに、GAのキーイベント設定(CV設定)を見ると、「お問い合わせ完了」のみがキーイベントに設定されていて、フォーム到達やCTAクリックは計測されていなかった。つまり「フォームにたどり着いたけど送信しなかった」人がどれだけいるのか、データがありませんでした。

KPIの再設計

この会社のKGIを「月間Web経由の問い合わせ20件」と設定し、KPIツリーを以下のように再構築しました。

レイヤー指標現状目標
KGI月間問い合わせ件数8件20件
KPIサービスページセッション数3801,000
KPIサービスページCVR2.1%2.5%
KPIブログ→サービスページ遷移率1.2%4.0%
KDIブログ記事へのCTA追加数0本/月既存記事10本/月
KDILP改善施策の実施数0回/月1回/月

「KGI 20件 = サービスページ1,000セッション × CVR 2.0%」が基本の計算式です。サービスページのセッションを380から1,000に増やすには、ブログからの遷移率を上げるのが最も現実的。ブログ月間19,000セッション × 遷移率4.0% = 760セッション。これに直接流入やその他チャネルを加えて1,000セッションを狙う構造です。

実行と結果

施策は大きく2つでした。

1つ目は、既存ブログ記事へのCTA追加です。流入の多い上位30記事に、記事の内容に合ったCTAバナーを追加しました。「もし自社でも同じ課題を感じているなら」という導入文のあとに、サービスページへの導線を置く。機械的に同じバナーを貼るのではなく、記事のテーマに合わせて文言を変える手間をかけています。

2つ目は、フォームの改善です。フォーム項目が9個あったのを4個に削減。あわせてフォーム到達をGAのキーイベントに追加し、ファネル分析ができる状態にしました。

3か月後の結果は以下のとおりです。

指標改善前3か月後
月間PV32,00033,500(微増)
ブログ→サービスページ遷移率1.2%3.8%
サービスページ月間セッション380920
サービスページCVR2.1%2.8%
月間問い合わせ件数8件22件

PVはほぼ変わっていません。変わったのはユーザーの動線です。ブログからサービスページへの流れが設計されたことで、既存のトラフィックが成果につながるようになりました。

担当者は「PVの報告しかしていなかった半年間がもったいなかった」と言っていましたが、裏を返せば、KPIの設計を変えただけで同じ流入量のまま成果が2.7倍になった。KPI設計の重要性を示す事例です。

KPI設計の5ステップ(明日から使える手順)

事例を見た上で、自社のKPI設計を進めるための手順を5ステップに整理します。

ステップ1:KGIを1つだけ決める

繰り返しになりますが、KGIは1つです。「売上を増やす」では曖昧すぎるので、数字と期限を含めてください。良い例は「2026年9月末までに、Web経由の月間問い合わせを30件にする」。悪い例は「Webマーケティングで売上を伸ばしたい」です。

KGIを決める際に重要なのは、現在地からの距離が現実的かどうかです。月8件の問い合わせを月30件にするのは、施策の方向性が合っていれば6か月で達成可能な範囲です。一方で月8件を月200件にするのは、サイトの規模や業種にもよりますが、現実的でないケースが多い。背伸びしすぎた目標は、達成できずにチーム全体のモチベーションを下げます。

ステップ2:KGIを構成するKPIに分解する

KGIを因数分解します。最も基本となるのは「問い合わせ件数 = セッション数 × CVR」という式です。ここからさらに分解できます。「セッション数 = オーガニック流入 + 広告流入 + SNS流入 + ダイレクト + リファラル」「CVR = サービスページ到達率 × フォーム到達率 × フォーム完了率」。

因数分解を進めすぎると複雑になるので、実務上は2〜3階層の深さに留めるのがベストです。先ほどの事例でも、KPIは3つ、KDIは2つしか設定していません。

McKinsey & Companyのレポートでは、KPIの数は5〜8個に絞ることが推奨されており、指標が多すぎると組織の注意が分散し、結果的にどの指標も改善しないという問題が起きると指摘されています。

ステップ3:現在値を計測する

KPIを決めたら、まず現在値を正確に把握します。GAのレポートやSearch Consoleのデータを確認して、各KPIの直近3か月の平均値を出します。

ここでよくある失敗は、計測環境が整っていないまま走り始めることです。GAのキーイベント設定が未完了だったり、クロスドメイントラッキングが効いていなかったり、内部トラフィックが除外されていなかったりすると、そもそもの数字が信用できません。KPI設計の前に計測環境の棚卸しは欠かせません。

ステップ4:目標値を設定する

各KPIの目標値を逆算で決めます。KGIが「月30件の問い合わせ」で、現在のCVRが1.5%なら、必要なセッション数は2,000。現在のセッション数が1,200なら、セッション数を67%増やすか、CVRを2.5%に上げるか、またはその両方の組み合わせになります。

目標値の設定で意識したいのは、改善余地が大きいKPIに注力することです。すでにCVRが3%のサイトをさらに上げるのは大変ですが、CVRが0.5%のサイトなら改善施策の選択肢が広い。セッション数が少ないサイトはSEOや広告で流入を増やすほうが早い場合もあります。現在地と目標値のギャップから、注力すべきKPIが自然に決まります。

ステップ5:KDI(行動指標)に落とし込む

最後に、KPIを改善するための日常のアクション量を数値化します。セッション数を増やすなら月8本のブログ記事を公開する。CVRを上げるなら月2回のLP改善施策を実施する。フォーム完了率を上げるならフォーム項目を現在の10個から5個に削減する、といった具合です。

KDIは自分たちがコントロールできる数字であることが大切です。「検索順位を上げる」はKDIではありません。順位はGoogleが決めることであり、自分たちが直接コントロールできないからです。「月8本の記事を公開する」なら、やったかやらなかったかを自分で判断できます。

KDIが設定できると、月次の振り返りが「成果が出たか出なかったか」の一喜一憂ではなく、「やるべきことをやったかどうか」と「やった結果KPIはどう動いたか」の2段階で見られるようになります。やるべきことをやってもKPIが動かなかったなら、施策の方向性を見直す。やるべきことをやれていなかったなら、実行体制を見直す。判断がシンプルになります。

GAでKPIダッシュボードを構築する実践手順

KPIを設計したら、次はそれを毎月追いかける仕組みが必要です。月次レポートを手動で作る方法もありますが、可能であればGAのダッシュボードを活用して、リアルタイムに近い状態でKPIを確認できる環境をつくることをおすすめします。

GAの「探索」レポートでKPIダッシュボードを作る

GAには標準レポートのほかに「探索」レポートという機能があります。自由にディメンションと指標を組み合わせて、オリジナルのレポートを作成できます。

まず、キーイベントの設定を確認します。ダッシュボード構築の前に、GAのキーイベント設定が正しくできているか確認しましょう。以下の3つは最低限キーイベントとして設定しておくことが望ましいです。フォーム送信完了(問い合わせ完了、資料DL完了)、フォーム到達(フォームページの表示)、CTAクリック(サービスページや料金ページへの誘導クリック)。フォーム完了だけでなくフォーム到達をキーイベントにする理由は、フォームの離脱率を計算するためです。「フォームに来たけど送信しなかった人」がどれだけいるかが分かれば、フォーム改善の優先度が判断できます。

次に、探索レポートで「ファネルレポート」を作ります。GAの探索レポートの中に「ファネルデータ探索」というテンプレートがあります。これを使って、以下のようなステップのファネルを設定します。ステップ1はサイト訪問(session_start)、ステップ2はサービスページ閲覧(page_viewでサービスページURLをフィルタ)、ステップ3はフォームページ到達(キーイベント:form_view)、ステップ4はフォーム送信完了(キーイベント:form_submit)。このファネルを作ると、各ステップ間の離脱率が一目で分かります。「サービスページからフォームに進む人が少ない」のか、「フォームに来たけど送信しない人が多い」のか。ボトルネックが視覚的に見えるので、次の施策を決めやすくなります。

最後に、チャネル別のセッション数とCVRを可視化します。探索レポートの「自由形式」テンプレートを使い、行にデフォルトチャネルグループ(Organic Search / Paid Search / Social / Direct / Referral)、列にセッション数、キーイベント数、キーイベント率(CVR)を配置します。これでチャネルごとの流入量と成果の効率が一覧できます。「広告からの流入は多いけどCVRが低い」「オーガニックは流入が少ないけどCVRが高い」といった傾向が見えると、リソース配分の判断がデータに基づいてできます。

Looker Studioとの連携

GAの探索レポートは便利ですが、共有がしにくいのが難点です。社内の関係者に定期的にKPIを共有したい場合は、Looker Studioでダッシュボードを作ることをおすすめします。GAと無料で連携でき、URLを共有するだけで誰でも閲覧できます。

Looker Studioで作るダッシュボードは、最初から完璧を目指す必要はありません。先述のKPIに対応する以下の要素が入っていれば、まずは十分です。KGIのスコアカード(現在の月間CV件数と目標との差分)、チャネル別セッション数の時系列グラフ、CVRの月次推移、流入上位10ページとそれぞれのCVRの表。

この4つのパネルだけのダッシュボードでも、「今月、何が順調で何が課題か」の会議ができます。50個のグラフを並べた美しいダッシュボードより、4個のパネルで毎月議論するほうが、はるかに実効性があります。

KPI設計でよくある失敗パターン

ここまでの内容を踏まえた上で、KPI設計でよく見る失敗パターンを3つ挙げておきます。

ひとつ目は、指標が多すぎることです。冒頭の話に戻りますが、30個の指標を追うのはKPI設計ではなくデータ収集です。指標が多いと、レポート作成の工数が膨らみ、何が重要かの焦点がぼやけ、結果として「レポートを作ることが目的」になってしまいます。対策はシンプルで、KGIは1つ、KPIは3〜5個、KDIは2〜3個。合計10個以内に収める。「この指標は必要か」と問われたときに「これが改善すればKGIがどう動くか」を説明できないなら、その指標は外します。

ふたつ目は、KGIとKPIの因果関係が弱いことです。PVやSNSフォロワー数をKPIに設定しているケースは多いですが、それらの数字が上がったときにKGIがどう動くかを説明できないなら、KPIとして不適切です。「PVが増えれば問い合わせも増えるはず」は因果関係ではなく期待です。「PVが増えても、サービスページへの遷移がなければCVRは上がらない」というのが正しい理解。KPIを設定するときは、必ず「この指標が改善 → 次の指標が改善 → KGIが改善」という因果の鎖を明示してください。

3つ目は、KPIを設計したあと見直さないことです。事業環境は変わります。広告のCPCが急騰してCPAの前提が崩れたり、新しいチャネルからの流入が増えたり。KPIは最初に設計したら終わりではなく、四半期に1回は見直す必要があります。見直しのタイミングは「KDIは達成しているのにKPIが動かない」とき。行動量は十分なのに中間指標が改善しないなら、施策の方向性か、KPI自体の設定が間違っている可能性があります。このシグナルを見逃さないためにも、月次でKGI・KPI・KDIの3層を必ず確認してください。

デジタルマーケティング戦略とKPI設計の関係

KPI設計は単独で成立するものではなく、デジタルマーケティング戦略の全体設計と密接に関わっています。戦略でゴールとチャネルを定め、KPIでその進捗を数字で追う。戦略なきKPIは数字の羅列になり、KPIなき戦略は精神論になります。

戦略の立て方については別記事で詳しく解説していますので、KPI設計とあわせて読んでいただくと全体像がつかめるかと思います。

KPI設計を「仕組み」にする

KPIを設計し、ダッシュボードを作り、月次で確認する。文字にすると簡単ですが、これを継続するのが最も難しいところです。

1か月目はやる気がある。2か月目もなんとかやる。3か月目に通常業務が立て込んで、レポートを見る時間がなくなる。4か月目には「そういえばKPIダッシュボードのことを忘れていた」。この流れに陥る企業を何度も見てきました。

株式会社ティーラでは、Webマーケティングの戦略立案からKPI設計、月次のモニタリング・改善提案までを一貫してご支援しています。KPIの設計だけでなく、その数字を毎月追いかけ、ボトルネックを特定し、具体的な改善施策を回す。この「仕組み化」の部分をお手伝いします。

KPIの設計方法やWebマーケティングの指標設計について詳しく知りたい方は、サービス資料をご覧ください。KPI設計テンプレートや、業種別のベンチマーク数値もまとめています。

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参考文献