先月、あるBtoBの人材系サービスを運営するクライアントから連絡がありました。「広告のCPAが合わなくて困っている」と。
話を聞くと、Google広告に月50万円を投下していて、LPはクラウドソーシングで8万円で作ったもの。CVR(コンバージョン率)は0.3%。月間クリック数が約2,500、獲得件数は7〜8件で、CPA(顧客獲得単価)が6万円を超えている。広告費を下げたいが件数も減らしたくない、という相談でした。
まず行ったのは、LPの構成を見直すことでした。ファーストビューのコピーが「私たちが選ばれる理由」という自社視点の訴求で、ユーザーの課題に触れていない。フォームは別ページに遷移する構成で離脱が起きている。レスポンシブ対応はされているものの、スマホで見るとCTAボタンが画面下に埋もれている。
構成の再設計とコピーの書き直し、フォーム一体型への変更を提案して、制作費は42万円。広告のクリエイティブは変えていません。
結果、CVRは0.3%から1.1%に上がりました。同じ広告費50万円でCVが8件から28件になり、CPAは約1.8万円まで下がった。LP制作に42万円かかりましたが、CPA改善の差額を考えると2ヶ月で回収できた計算です。
何が言いたいかというと、LP制作の費用は「いくらかかるか」ではなく「いくら回収できるか」で判断するのが望ましいということです。安いLPに広告費を流し続けるのは、穴の空いたバケツに水を注いでいるようなものです。
とはいえ、予算に限りがあるのも事実です。この記事では、LP制作の費用相場を制作タイプ別に整理した上で、「何にお金がかかっているのか」「依頼先をどう選ぶべきか」を解説していきます。
LP制作の費用を決める3つの変数
費用相場に入る前に、LP制作の見積もりがどう構成されているかを理解しておくと話が早いです。
LPの費用を左右する変数は、大きく3つあります。
1つ目は、構成設計の深さです。ワイヤーフレーム(ページの骨組み)を誰がどこまで考えるか。テンプレートに当てはめるだけなのか、ターゲットの心理導線を設計した上で構成を組むのか。ここが費用差の一番大きな要因です。
2つ目は、デザインの作り込みです。既存テンプレートの色やフォントを調整するレベルなのか、ゼロからオリジナルのビジュアルを起こすのか。写真撮影やイラスト制作が入るとさらに上がります。
3つ目は、実装の対応範囲です。静的なHTMLだけか、フォーム組み込みまでやるか、ABテストを回す前提の設計か、CMS連携やアクセス解析の計測タグ設置まで含むか。
この3つの掛け合わせで費用が決まります。「LP制作の相場はいくら」という問いに「ケースバイケースです」としか答えられない理由がこれです。ただ、パターン分けはできるので、次のセクションで整理します。
制作タイプ別の費用相場
LP制作を大きく3つのタイプに分類して、それぞれの費用感・制作期間・向いている用途をまとめます。
タイプ1:テンプレート型(5〜15万円)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 費用 | 5〜15万円 |
| 制作期間 | 1〜2週間 |
| 構成設計 | なし、またはヒアリングベースの簡易構成 |
| デザイン | テンプレートのカスタマイズ |
| レスポンシブ対応 | テンプレート依存(対応済みの場合が多い) |
| フォーム | 外部サービス埋め込み(Googleフォーム等) |
STUDIOやペライチなどのノーコードツール、あるいはWordPressのテンプレートをベースに作るパターンです。デザインの自由度は低いですが、スピードとコストに優れています。
向いている場面としては、イベントの告知ページ、テスト段階で「まずCVが取れるか検証したい」ケース、予算が限られたスタートアップの初期LPなどが挙げられます。
注意点として、構成設計が含まれていないため、「何をどの順番で伝えるか」は発注側が考える必要があります。「とりあえず情報を入れた1枚ページ」になりがちで、CVRが上がらず広告費が無駄になるリスクがあります。冒頭の事例で8万円のLPのCVRが0.3%だったのも、構成設計がなかったことが主な要因でした。
タイプ2:オリジナルデザイン型(20〜50万円)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 費用 | 20〜50万円 |
| 制作期間 | 3〜6週間 |
| 構成設計 | ワイヤーフレーム制作あり |
| デザイン | オリジナルのUIデザイン |
| レスポンシブ対応 | スマホ・タブレット個別最適化 |
| フォーム | カスタムフォーム組み込み |
ワイヤーフレームから起こして、オリジナルのデザインを制作するパターン。中小企業のリード獲得LP、採用LP、商品紹介LPで最も多い価格帯です。
向いている場面としては、広告を継続的に回す前提のLP、コーポレートサイトのトーンに合わせたい場合、競合との差別化が必要な場合などが挙げられます。
このタイプで確認すべきことは3つあります。構成設計がヒアリングに基づいているか(テンプレートの配置を入れ替えただけの「なんちゃってオリジナル」もあります)。デザイン修正の回数制限。コーディングがセマンティックに組まれているか(後からのSEO対応やABテストのしやすさに影響します)。
タイプ3:戦略設計込み型(50〜150万円)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 費用 | 50〜150万円 |
| 制作期間 | 1〜3ヶ月 |
| 構成設計 | 競合調査・ペルソナ設計・心理導線設計を含む |
| デザイン | オリジナル+ブランドガイドライン準拠 |
| レスポンシブ対応 | デバイス別の最適化設計 |
| フォーム | EFO(エントリーフォーム最適化)込みの設計 |
| その他 | ABテスト設計、GA計測設計、広告連携 |
「LPを作る」前に「誰に・何を・どう伝えるか」の戦略から設計するパターンです。競合のLPを分析し、ターゲットのペルソナを明確にし、ファーストビューで何を言うべきかをデータに基づいて決める。公開後のABテスト計画まで制作段階で組み込みます。
向いている場面としては、月間の広告費が50万円以上ある場合、LPのCVRが事業KPIに直結する場合、既存のLPをリニューアルしてCPAを下げたい場合などが挙げられます。
冒頭の事例で42万円かかったLPが、このタイプに近いです。費用だけ見ると高いですが、CPAが3分の1以下になったことを考えると、広告費のROI改善で十分にペイしています。
安いLPと高いLPで「何が違うのか」
費用の差が具体的にどこから来ているのか、もう少し踏み込みます。
構成設計の有無
これが一番大きいです。10万円のLPは「お客さんから原稿をもらって、テンプレートに流し込む」。50万円以上のLPは「ターゲットが最初に何を知りたいか、どの順番で情報を出せば離脱しないか、最後にどういう感情でCTAボタンを押すかを設計する」。
設計の有無でCVRは露骨に変わります。マーケティング分析プラットフォームUnbounceの2024年レポートでは、業界平均のLPコンバージョン率は4.3%とされていますが、最適化されていないLPは1%未満にとどまるケースが多いです。構成設計は目に見えないけれど、もっとも費用対効果に直結する工程です。
レスポンシブ対応の質
「スマホ対応しています」と言っても、PCのレイアウトを単に縮小しただけのものと、スマホ専用のUI設計を行っているものでは体験が全然違います。
Statcounterの2025年データによれば、日本のWebアクセスにおけるモバイル比率は約60%。BtoBサービスであっても、初回接触はスマホからということが増えています。にもかかわらず、安価なLPではスマホ表示の確認をPC上のエミュレーターだけで済ませて、実機テストをしていないケースがあります。
フォーム設計
問い合わせフォームは、LPのCVRを左右する最重要パーツです。ここの設計が雑だと、せっかくCTAボタンを押してくれたユーザーがフォームで離脱してしまいます。
安いLPではGoogleフォームの埋め込みや、別ページへの遷移で済ませることが多いです。高いLPではLP内にフォームを一体化し、入力項目数を最小限にし、リアルタイムバリデーション(入力エラーの即時表示)やステップフォーム(入力を段階的に分ける)を実装します。
HubSpotの調査によると、フォームの入力項目数を減らすだけでCVRが最大50%改善した事例があるとされています。
ABテスト対応
ABテストを回す前提で作られたLPは、テストツールとの連携がしやすい構造、計測タグの事前埋め込み、パターン差し替えがしやすいモジュール設計になっています。最初からテスト前提で作っておかないと、後から「ABテストをやりたい」となったときに改修費が別途かかります。
フリーランスに頼むか、制作会社に頼むか
LP制作の依頼先として、大きく「フリーランス」「制作会社」「マーケティング会社」の3択があります。
フリーランス
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 費用感 | 5〜40万円 |
| メリット | コストが抑えられる、コミュニケーションが直接的、小回りが利く |
| デメリット | 対応範囲が個人のスキルに依存、稼働が安定しない場合がある、戦略設計まで含むケースは少ない |
デザイナーに頼めばデザインは良いがコピーライティングは自分で用意する必要がある、コーダーに頼めば実装は問題ないがデザインは別で発注する必要がある、というように、工程ごとに分業になりがちです。ディレクションを自分でやれる発注者であれば、コストを抑えつつ品質を保てます。
ただし、LPの構成設計からコピーライティング、デザイン、実装、計測設計まで一人で全部できるフリーランスはかなり稀です。見つけたとしても、そういう人の単価はフリーランスの相場より高くなります。
制作会社
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 費用感 | 20〜100万円 |
| メリット | チーム体制で対応可能、品質管理のプロセスがある、保守対応もしやすい |
| デメリット | フリーランスより費用が高い、担当者によって当たり外れがある |
ディレクター・デザイナー・コーダーのチームで対応するため、工程間の連携がスムーズです。大手の制作会社であれば実績も豊富です。
注意すべきは、「制作会社」と名乗っていても、実態はフリーランスへの外注で回している会社も少なくないことです。提案時に「実際に制作するのは社内のチームか、外部パートナーか」を聞いてみてください。外注自体が悪いわけではないですが、コミュニケーションの階層が増えるほど伝言ゲームになりやすいです。
マーケティング会社(50〜150万円)
広告運用とLP制作をセットで依頼できるのが最大のメリットです。広告のターゲティングとLPのメッセージを一貫させることでCVRを高められます。ただし、あくまで広告運用の一環としての制作なので、ブランドの一貫性やデザインの自由度を求めるなら制作会社のほうが向いています。
依頼前のチェックリスト
LP制作を依頼する前に、以下を社内で整理しておくと、見積もりの精度が上がり、認識のズレによる手戻りを減らせます。
整理しておきたい7項目
| # | チェック項目 | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | LPの目的 | 問い合わせ獲得、資料請求、セミナー申し込み、購入。CVの定義を明確に |
| 2 | ターゲット | BtoB/BtoC、業種、役職、年齢層、課題感。解像度が高いほど構成設計の質が上がる |
| 3 | 流入経路 | Google広告、SNS広告、メルマガ、オーガニック検索。流入元によってファーストビューの訴求が変わる |
| 4 | 競合のLP | 3〜5社のLPのURLを用意しておく。「うちはここと差別化したい」が伝われば提案が具体的になる |
| 5 | 原稿・素材の有無 | テキスト原稿、商品写真、ロゴデータ、導入事例。自社で用意するか制作側に依頼するかで費用が変わる |
| 6 | 予算と期限 | 予算レンジと公開希望日を正直に伝える。「予算は言いたくない」は逆に無駄な見積もりを増やす |
| 7 | 公開後の運用 | ABテストを回すか、広告と連携するか、定期的に改修するか。ここで制作の技術要件が変わる |
見積もりを比較するときのポイント
複数社に見積もりを依頼するのは良いことですが、「総額の安さ」だけで比較するのは避けたほうがいいです。構成設計がどこまで含まれるか、修正回数の上限、レスポンシブ対応は別途か込みか、納品物の範囲(Figmaデータは渡されるか)、公開後の無料サポート期間、GAやコンバージョンタグの設置は含まれるか。これらを横並びで確認してください。
「安いLP+高い広告費」と「良いLP+同じ広告費」の比較
簡単な試算をします。月間広告費30万円、クリック単価200円でクリック数1,500。LP制作費10万円のテンプレート型でCVR 0.5%なら月間CV約8件、CPA約3.8万円。同じ広告費で、制作費50万円の戦略設計込みLPでCVR 1.5%に改善したら月間CV約23件、CPA約1.3万円。
制作費の差額40万円に対して、月間のCV増加は15件。BtoBで商談化率20%・平均受注単価50万円なら、月間で3件×50万円=150万円の売上増になる計算です。
もちろん単純化した試算ですが、LP制作費をコストと見るか投資と見るかで、判断の物差しがまるで変わります。広告代理店にリスティングを預けているとCPAの原因を広告側に帰属しがちですが、クリック率は悪くないのにCVRだけ低いなら、まず疑うべきはLPの構成です。
LP制作で失敗するパターン
ここまで費用相場と選び方を書いてきましたが、クライアント案件で見てきた「LP制作の失敗あるある」も共有しておきます。
1つ目は、社内コンセンサスを取らずに発注するパターンです。マーケ担当者が主導でLP制作を依頼したものの、完成間際に役員から「うちのブランドイメージと違う」とやり直しになるケース。発注前に、社内の意思決定者にデザインの方向性を合意しておくだけで防げます。
2つ目は、原稿の準備が遅れてスケジュールが崩壊するパターンです。LP制作のボトルネックは、意外とデザインや実装ではなく「原稿」です。導入事例の取材が間に合わない、商品説明のテキストが確定しない。これでスケジュールが1ヶ月押すことはざらにあります。
3つ目は、「とりあえず」で安いLPを作り、改修を重ねて結局高くつくパターンです。最初に10万円で作ったLPのCVRが低い → 修正5万円 → デザイン変更15万円 → 結局リニューアル40万円。合計70万円。最初から40万円で戦略設計込みのLPを作っていたほうが安かった、というパターンは珍しくありません。
株式会社ティーラが考えるLP制作
株式会社ティーラでは「制作 × 改善」を一つの流れとして考えています。LPを作る段階から、公開後にどの指標を計測して、どんな仮説でABテストを回すかを設計に織り込みます。
よくある「制作は制作会社、広告は代理店、改善は別のコンサル」という分業体制だと、問題の切り分けが曖昧になりがちです。弊社ではLP制作からCVR改善まで一気通貫で見るので、原因の特定と改善がスムーズに進みます。
費用の目安としては、戦略設計込みのLP制作で40万〜80万円程度。公開後の改善支援は月額制で対応しています。
「今のLPの何が問題なのかわからない」「これから広告を始めるにあたってLPを作りたい」という段階でも構いません。現状のLPを見た上で、どのタイプの制作が向いているか、率直にお伝えします。
参考文献
- 中小企業庁「中小企業実態基本調査」令和6年度確報 https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/kihon/
- Unbounce「Conversion Benchmark Report」 https://unbounce.com/conversion-benchmark-report/
- Statcounter GlobalStats「Platform Comparison Chart」
- HubSpot Blog「Landing Page Statistics」 https://blog.hubspot.com/marketing/landing-page-stats