「川上さん、AIツールが多すぎて、結局どれを使えばいいのかわからないんです」

先週、フリーランスでWebデザインをしているクライアントから、打ち合わせの冒頭にそう言われました。彼女のブラウザのブックマークバーには、ChatGPT、Claude、Gemini、Midjourney、Copilot……と10個以上のAIサービスがずらっと並んでいて、「全部試したけど、どれを課金すべきかわからない」と。

わかります。2024年くらいまでは「とりあえずChatGPTを使っておけばOK」で済んでいたのが、2025年後半から各社のモデルが一気にレベルアップして、選択肢が爆発的に増えました。ティーラというエージェンシーの仕事で20を超えるAIツールを日常的に触っていますが、「全部使いこなす」ことは難しいのが実情です。大事なのは、自分の用途に合ったものを3〜5個に絞ることです。

この記事では、2026年3月時点で実際に使っているもの・クライアントに薦めているものを中心に、生成AIツール20個をカテゴリ別に紹介します。「これは本当に使える」と思うものは厚めに、「名前は知っておいたほうがいい」レベルのものは簡潔にいきます。

テキスト生成AI。ここが全ての基本

仕事でAIを使うなら、テキスト生成ツールの選定が最優先です。

1. Claude(Anthropic)── ティーラのメインツール

ティーラではClaude Opus 4.8をメインモデルとして使っています。長文レポートの作成、提案書のドラフト、コード修正。仕事の8割はこれで回しています。

Claudeの最大の特長は指示への忠実度と長文の一貫性です。「ですます調で、5,000字で、数値にはソースを付けて」と指示すると、最後まで守ってくれます。後半になっても文体が崩れない。100万トークンのコンテキストウィンドウが効いています。

プライバシー設計も堅い。消費者プランでも、ユーザーが明示的に許可しない限りデータがモデルトレーニングに使用されません。

プラン構成は以下のとおりです(2026年6月時点)。

プラン月額概要
Free無料Sonnet 4.6が利用可、制限あり
Pro$20Opus 4.8利用可、プロジェクト機能
Max$200上限大幅緩和、高頻度利用向け

2. ChatGPT(OpenAI)── 万能型の王道

GPT-5.5が2026年4月にリリースされ、週間アクティブユーザー9億人超。いまや「AIの代名詞」です。

ChatGPTの強みは多機能さです。テキスト生成+ChatGPTの画像生成(GPT Image)+Advanced Data AnalysisによるExcel分析。1つで完結する守備範囲の広さが他にありません。AI初心者に最初の1本として勧めるなら、ChatGPTが一番スムーズです。

使い分けとしては、画像のラフ案出し、クライアントに「自分で触ってみて」と渡すとき、データの簡易可視化。メインはClaudeですが、ChatGPTなしでは仕事が回りません。

プラン構成は以下のとおりです(2026年6月時点)。

プラン月額概要
Free無料GPT-5.5 mini利用可
Plus$20GPT-5.5利用可
Pro$200GPT-5.5 Pro無制限

3. Gemini(Google)

月間アクティブユーザー7.5億人突破。Gmail、Googleドキュメント、スプレッドシートとのGoogle Workspace連携が最大の武器です。テキスト生成の品質単体ではChatGPTやClaudeに譲りますが、Google製品を日常的に使っている人にとっての統合の便利さは圧倒的です。Gmailの返信ドラフト提案、スプレッドシートの関数生成など、ちょっとした時短の積み重ねが大きい。無料版あり、Advanced $20/月。

4. Perplexity AI

「AI検索エンジン」として急成長。リアルタイムでWebを検索してソース付きで回答を返してくれます。リサーチの入り口として重宝していて、クライアントの業界動向調査が「Google検索→記事を開く→要約」から一発で済むようになりました。出典を鵜呑みにせず原典に当たる習慣は必要ですが、リサーチ速度は段違いです。無料版あり、Pro $20/月。

画像生成AI。用途で選び方がまるっきり変わる

5. ChatGPTの画像生成(GPT Image)

画像生成の文脈で改めて。2025年のアップデート以降、ChatGPTの画像生成品質は劇的に向上しました。テキストの書き込み精度が上がり、写真風の編集も可能です。SNS投稿用やプレゼン挿絵ならこれで十分。Plus加入で追加料金なし。

6. Midjourney

高品質な画像生成に特化。アート性の高い画像を作らせたら、現時点で最もクオリティが安定しています。2025年にWebアプリ版も公開され使いやすくなりました。月額$10のBasicから、Standard $30、Pro $60。画像専用と割り切れるなら第一候補です。

7. Adobe Firefly

Adobe製品に統合された生成AIです。商用利用が安全な点が最大の強みです。Adobe Stockのライセンス済み素材で学習しているため、著作権リスクが低い。クライアント納品物にAI画像を使うならFirefly経由が安心です。Creative Cloudユーザーは追加費用なし。

8. Stable Diffusion

オープンソースの画像生成モデルです。ローカル環境で動かせるのでプライバシー重視の場面に有効です。ただし環境構築に技術力が必要で、非エンジニアにはハードルが高い。技術者がいるチーム向けです。

動画生成AI。一気に実用段階へ

9. Runway

動画生成AIの代表格です。テキストや画像から短尺動画を生成します。最新モデルで画質とモーションの自然さが大幅に向上し、SNS用ショート動画なら十分なクオリティです。ティーラでもイベント告知用の15秒動画に使ったことがあり、静止画から30分でそれらしい動画ができました。Free(お試し)、Standard $15/月、Pro $35/月。

10. Sora(OpenAI)

最大60秒の動画を生成します。物理法則に基づいたリアルな動きが特長です。品質は高いものの、生成に時間がかかる場面もあり、量産には向かない印象です。ChatGPT Plus/Proで利用可能。将来性は高いです。

11. Kling AI(快影)

中国Kuaishou開発。テキストや画像から最大2分の動画を生成します。カメラワークの制御精度が高く、コスパも良好です。SoraやRunwayと品質面で遜色ないレベルに達しており、無料枠もあります。

音声AI。文字起こしと音声合成

12. ElevenLabs

テキストから自然な音声を生成します。日本語対応、声のクローニング機能あり。クライアントプレゼン用のナレーション仮入れに使っています。Free(月1万文字)、Starter $5/月、Creator $22/月。

13. Whisper(OpenAI)

オープンソースの音声文字起こしモデルです。日本語認識精度が高く、会議録音のテキスト化に実用的です。ローカル実行なら無料、API経由でも利用可能です。ティーラではCirclebackというAI議事録サービスの裏側にWhisperベースの技術が使われています。

コーディング支援AI。進化が最も激しい領域

2026年はコーディング支援AIの進化スピードが顕著です。ディレクター兼開発者にとって、このカテゴリの恩恵が最も大きいです。

14. Claude Code(Anthropic)── ティーラの開発の要

Claudeのコーディング特化CLIツールです。ターミナルからClaudeに直接コーディングを任せられます。GitHubのリポジトリ全体を読み込ませ、コードベースを理解した上で横断的に修正してくれます。

ティーラのLP制作やツール開発で最も使っているAIツールの一つです。「このバグの原因を調べて修正して」と投げると、関連ファイルを探索して直してくれます。導入後、コーディング作業の所要時間が大幅に短縮されました。Claude ProまたはMaxに加えてClaude Code Developer($20/月)が必要です。

15. Cursor

AIネイティブなコードエディタです。VS Codeベースで、エディタ内にAIチャットが統合されています。コードの補完・生成・修正がエディタから離れずにできます。

Claude CodeとCursorの併用がティーラのスタイルです。Cursorはファイル単位の細かい修正やコード補完、Claude Codeはリポジトリ全体を見渡す大きな変更。この棲み分けがうまく回っています。Free、Pro $20/月、Business $40/月。

16. GitHub Copilot(GitHub / Microsoft)

VS Code、JetBrains、Neovimなど幅広いエディタに対応するAIコーディングアシスタントです。インラインのコード補完精度が高い。2025年末に「Copilot Workspace」が正式リリースされ、Issue→コード生成→プルリクエストの流れをAIが支援する体制が整いました。チーム開発でGitHubを使っているなら第一候補です。Free(制限あり)、Pro $10/月、Business $19/人/月。

業務効率化AI。地味だけど毎日の時短に直結

17. Notion AI

Notionに統合されたAI機能です。議事録の要約、文章のリライト、タスクの自動分類。ティーラではNotionをナレッジベースとして使っているので、ミーティングメモを「要約して、TODOを抽出して」で構造化できるのが地味に効きます。アドオン$10/月/人。

18. Dify

オープンソースのAIアプリ構築プラットフォームです。ノーコードでAIチャットボットやワークフローを構築できます。RAG(外部データ参照型AI)の構築が簡単で、「自社専用AIを作りたいが開発予算が厳しい」クライアントに何度か提案しています。セルフホスティング無料、クラウド版$59/月〜。

19. Zapier(+AI機能)

業務自動化の老舗にAI機能が追加されました。ChatGPTやClaudeのAPIをワークフローに組み込めるようになり、「問い合わせをAIで分類→Slackの該当チャンネルに転送→対応テンプレートを自動生成」のような連携が組めます。AIツール単体よりも「AI × 既存業務フロー」の自動化に強いです。Free(月100タスク)、Starter $19.99/月。

20. NotebookLM(Google)

PDFやWebページをソースとしてアップロードすると、その内容に基づいてAIが質問に回答します。ソース外の情報で「でっち上げ」が起きにくい設計です。資料をポッドキャスト風の音声要約に変換する「Audio Overview」機能も興味深い。無料。

予算別のおすすめ組み合わせ

「で、結局いくらかかるの?」が気になっているところだと思います。予算別の組み合わせ案を整理しました。

月額0円:ChatGPT(無料版)+ Gemini(無料版)+ NotebookLM。テキスト・Google連携・リサーチの3本柱。これだけでもかなりのことができます。

月額$20〜40:Claude ProまたはChatGPT Plus、どちらか一方をメインに。テキスト中心ならClaude、画像も必要ならChatGPT。加えてPerplexity Pro($20)でリサーチ強化。

月額$60〜100:Claude Pro + ChatGPT Plus + コーディングツール(CursorまたはGitHub Copilot)。テキスト・画像・コーディングの全方位カバー。ティーラの推奨構成に近い布陣です。

選び方で迷ったときに

最後に、クライアントに伝えていることを3つだけ。

まず1つのツールを使い倒すことが大切です。あれもこれもと手を広げるより、1つに集中してプロンプトの書き方を覚えるほうがずっと効率がよいです。物足りなくなってから次を足せばよいです。

無料版でまず試すことをお勧めします。ほとんどのツールに無料プランがあります。1〜2週間使って「これがないと困る」と感じたら課金する。「なくても困らない」なら、今の自分には不要です。

他の人の使い方を見ることも有効です。AIツールは「何を聞くか」「どう指示するか」で出力が劇的に変わります。使い込んでいる人の話を聞くのが一番速い上達方法です。

使い方を深めたい人へ

弊社が運営に関わっているRIALA(リアラ)というAI活用コミュニティでは、今回紹介したツールの使い方や業種ごとの活用事例を実践ベースで共有しています。

「ChatGPTとClaudeどっちが自分に合ってるかわからない」「Midjourneyのプロンプトのコツが知りたい」「ZapierでAI連携を組みたい」。そういった悩みに、同じ立場のフリーランスや事業主が答えてくれる場です。

気になった方は覗いてみてください。

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参考文献